膝の動揺関節で硬性装具を使用していないことから10級ではなく12級後遺障害が相当であるとした判決です。

[12級,動揺関節,後遺障害,膝関節]

34歳の女子有職主婦が衝突事故で左膝靱帯損傷等からの動揺性について硬性装具をしようしていないことから後遺障害12級が相当であるものとした判決です

京都地裁 平成14年2月21日判決 
自動車保険ジャーナル・第1452号

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【事案の概要】
34歳女子有職主婦の被害者は,平成9年12月11日,自動2輪車で直進中,交差道路から右折進入してきた加害者運転の小型貨物車に衝突され,左膝靱帯損傷等で61日入院,240日実通院して左膝の不安定性,屈曲困難,左膝関節の頑固な疼痛,左下肢の醜状痕を残存したとし,賠償を請求したものです。主に,左膝の不安定性(関節の動揺性)が争点となりました。


【判決の趣旨】
動揺関節の場合,「労働に多少の支障はあっても,固定装具の装着を常時必要としない程度のもの」をいい,ここにいう「固定装具」とは,硬性のものをいい,軟性のものを含まないと一般に解されている。
ところが,被害者が左膝に装着している装具は,金属支柱(フレーム)入り膝軟性装具であって,膝を固く固める硬性の装具ではなく,屈曲と伸展が比較的自由にできるが,左右と前後の動揺性をある程度制限しようとするものであることが認められる。
そうすると,被害者は,そもそも,左膝に硬性の固定装具を装着しているものではないから,被害者の左膝関節の不安定性は,それ自体としては,後遺障害等級10級11号に該当しないものといわざるを得ない。


【コメント】
 関節に不安定性がある動揺関節とは,関節の安定性機能が損なわれてしまったために,関節の可動性が正常より異常に大きくなったり,あるいは異常な方向に運動が可能となってしまったものをいいます。後遺障害等級10級の「1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」に該当するためには,「常に硬性補装具を必要とするもの」に該当しなければなりません。この裁判例は,これについて触れたものです。
「被害者が左膝に装着している装具は,金属支柱(フレーム)入り膝軟性装具であって,膝を固く固める硬性の装具ではなく」というのが,後遺障害等級10級該当性を否定した理由でした。その事実があるならば,やむを得ないものと言えます。

 

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