ズデック骨萎縮による後遺障害(後遺症)に関する判決です。

[ズデック骨萎縮,強直,後遺障害,用廃,骨折]

ズデック骨萎縮による後遺障害として,併合10級が認められました。

大阪地裁 昭和63年10月11日判決
昭和61年(ワ)第11195号 損害賠償反訴請求事件
<出典> 交民集21巻5号1050頁

【事案の概要】
被害者は,交通事故で,頭部打撲,胸部打撲,左肩・手背打撲,右足第2中足骨骨折などを受傷して,122日間入院する等して治療をしました。
しかし,右足関節及び右足指関節機能障害を残しました。
この右足関節及び右足指関節機能障害についてズデック骨萎縮であるか,足を長いこと使用しなかったことによる廃用性の萎縮であるか,が争点となりました。

【判決の趣旨】
ズデックの骨萎縮とは,軽微な外傷後に主に手足に発生する痛みと腫れを伴った骨の萎縮である。捻挫や骨折などを被った局所の腫れが永続するばかりでなく,
周りに広がっていき,そのうち近傍の関節まで拘縮に陥るものであって,レントゲン上ではカルシウムの抜けた状態,つまり骨萎縮の状態として証明される。

病因としては,自律神経を介して血管の収縮性が阻害され,骨や周りの軟部組織の栄養状態が不良になることによって引き起こされる疾患と理解されているが,その治療法は未だ確立されていない。

被害者の場合にも,右足部の比較的小さい骨の単純な骨折に引き続いて浮腫が持続し,更に痛みも非常に強くなり,近傍の関節まで侵され,
昭和61年1月27日と同年5月1日の各レントゲン写真を比較してみても右足部のカルシウムが抜けた状態が証明されている。
そして,骨萎縮が生じている場合には,皮膚,筋肉,腱,靭帯といった骨以外の組織にも栄養が十分にいきわたらず,
関節の周囲の軟部組織が伸縮性を失ってその動きが悪くなったりすることが考えられることが認められる。

これらの事実を総合すれば,被害者の骨萎縮の原因は単に右下肢を十分に使用しなかったことによるものということはできず,
被害者の右足部にズデックの骨委縮が生じ,これによって右足関節や右足指関節の機能障害が発生しているものと認めるのが相当である。

【コメント】
ズデックの骨萎縮について,極めてコンパクトにまたわかりやすくまとめて説明しております。
また,右足関節及び右足指関節の機能障害については,可動域の左右差(健側と患側の差)が10度以内となっていたものに対して,
症状固定時の主治医の判断を尊重し,また労災の等級認定基準に準拠して判断をした妥当なものです。

 

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