ベントン視覚記銘力検査を実際に活用した判決例です。

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ベントン視覚記銘力検査が高次脳機能障害における記銘力障害に関する検査として用いられていることは,いくつもの判決例で分かります。

しかし,ベントン視覚記銘力検査だけで判断をするものではありません。
但し,この検査結果として正答率が60%程度以下であることは,広範囲の高次脳機能障害を窺わせるものといえます。


判決例はどのようなものがありますか。

判決例1 外傷後うつ状態   (クリックすると回答)


名古屋地裁 平成10年9月9日判決
<出典> 自動車保険ジャーナル第1278号(平成11年1月14日掲載)

脳波検査に著変はないが,知能検査(WAIS)の結果(総合IQ75(言語性IQ83,動作性IQ70)),ベントン視覚記銘力検査の結果(正確数10分の5),ロールシャッハ検査の結果(不安無力感が強く現実適応力が欠落している。)により,外傷後うつ状態と診断した。

判決例2 記銘力障害で後遺障害5級  (クリックすると回答)


大阪地裁 平成14年10月21日判決(控訴和解)
<出典> 自動車保険ジャーナル・第1500号(平成15年7月17日掲載)

平成9年12月2日に実施されたWAIS-R検査では,知能指数(IQ)100,言語性IQ92,動作性IQ113との結果であり,いずれも特に知能指数の低下は認められなかったが,個々の検査内容では,算数問題,復唱問題,符号問題で明らかな低下が示された。
その他,同日に行われたベントン視覚記銘検査では,正確数,誤謬数いずれからみても欠陥ありと評価できるとされ,三宅式対語記銘力検査でも,記銘力障害ありと判断されている。(注:5級と認定)

判決例3 高次脳機能障害9級  (クリックすると回答)


京都地裁 平成16年9月9日判決(控訴中)
<出典> 自動車保険ジャーナル・第1577号(平成17年2月17日掲載)

ベントン視覚記銘力テストでは,相当知能指数80ないし94の成績であった。
三宅式記銘力テストでは,有関係対語の再生の成績は,10語中,1回目が9語,2回目及び3回目が10語,無関係対語の再生の成績は,10語中,1回目が0語,2回目が3語,3回目が5語であった。(注:9級と認定,但し他の能力低下も考慮して)

判決例4 高次脳機能障害3級  (クリックすると回答)


神戸地裁尼崎支部 平成13年12月4日判決(控訴)
<出典> 判例時報1798号111頁

ベントン視覚記銘力検査では視覚的記銘力障害があるとされ,三宅式対語記銘力検査においても,成績の数値上は聴覚的記銘力障害があるとは認められないものの,反応時間が遅い,回答に自信がもてないといった面があり,多少記銘力に不安があると指摘され,また,ウェクスラー成人知能評価尺度(WAIS-R)による知能検査では,言語性IQ92,動作性IQ94,全検査IQ92であって,全体的な知的レベルとしてはそれほど問題がないようであるが,符号問題での成績が特異的に悪く,視覚運動系の機敏性や短期間の記憶,暗記力に難があるといえるかもしれないと指摘された。 (注:3級と認定,但し他の能力低下及び画像上で脳萎縮が認められることも考慮して)

判決例5 高次脳機能障害1級  (クリックすると回答)


東京地裁 平成18年3月29日判決(控訴後和解)
<出典> 交民集39巻2号472頁

原告に対しては,各種の知能検査,記憶検査等神経心理学的検査が実施された。
平成13年5月から6月にかけて実施されたウエクスラー成人知能検査法改訂版(WAIS-R)の結果は,IQ123(H13.5.2実施)WAIS-R:VIQ84 PIQ73→TIQ73であった。
原告の三宅式記銘力検査(H13.7.13実施)の結果は,有関係対語=5-9-10/10語,無関係対語=0-1-2であった。
ベントン視覚記銘力検査(H13.7.13実施)の結果は,6/10正答,周辺図形の省略,形の誤謬がみられていた。(注:1級と認定)

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