Q.失行症とはどのようなものでしょうか。
失行症とは,大脳の特定部位の局所的損傷)によって生じるものです。
脳で(心で)思った通りに動作ができない症状を言います。
その失行の表れは損傷の部位や程度によって様々です。
主に,観念運動失行・観念失行・構成失行・着衣失行があります。
構成失行と構成障害については,異なる概念という考えと,同じに考える考え方とがあるようです。
心の中で思ったことをその通りにしようと体を動かそうとしても,思ったこととは違う行為になってしまったり,全く逆の行為になってしまったりすることです。手足の麻痺がないのに,運動がきちんとできない状態です。大脳の特定部位の損傷によって生じます。
失行症の中にも次のような種類があります。
失行の中で最も中核をなしています。
比較的な簡単な今までは苦もなくできていた動作が自然にはできるのに,命令されると,あるいは意図的にしようとするとうまくできなくなってしまう。
または,動作をマネしたり道具を使うふりをするように命じられるとできない状態です。
左半球の頭頂葉あるいは側頭-頭頂葉の損傷によって生じるとされています。
比較的複雑な行為をするときに,ここの行為をばらばらにすればできるのに,連続してまとめることができないものを言います。
例えば,マッチでタバコに火をつける動作について言えばマッチ棒を逆さまに持ったり,あるいはタバコでマッチ箱をこすったりという誤った動作をします。
自分でしようとしている行為全体の計画が立てられない,行為系列化の障害です。
左半球の頭頂葉中心の広い範囲の損傷によると考えられています。
構成行為の障害であり,操作の空間的位置付けが侵されているために図形がうまくかけなかったり,積み木で形を作ることができなかったりします。
図形についても模写もうまくできなかったりします。頭頂葉の左右半球いずれの損傷によっても起こるとされています。
衣服の脱着だけに現れる失行です。
衣服の前後の間違い,上着なのに足を入れようとしたり,着物が正しく着られない失行です。右半球の後部損傷で生じるとされています。
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構成障害(リンク)