Q.高次脳機能障害におけるレーブン色彩マトリックス検査とは何ですか。

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A.

レーブン色彩マトリックス検査とは英語ではRaven's Coloured Progressive Matricesと言います。略してRCPMとされることがあります。
WAB失語症検査日本語版の下位検査として,あるいは高次脳機能障害の知的障害の有無を判定することが可能です。
WAIS-Rとの相関関係が認められ推定IQが算定できるとされています。

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1 具体的にはどのような検査ですか
12課題を1セットとして,3セットあり,合計36課題の36点満点です。
3セットは,セットA,セットAB,セットBとされています。
セットAは,図形の欠けている部分を選択肢から選ぶものです。
セットAB,セットBは,空白部分に相当する図形・模様の推論課題です。具体的で簡単なものから,抽象的で難しいものまでの段階があります。

言語を使わなくても正しい図案を選べばよく,または「はい、いいえ」の意思表示さえできればいいので言語障害や運動障害のある患者でも検査できるという利点があるとされています。
WAB失語症検査日本語版の下位検査として,あるいは高次脳機能障害の知的障害の有無を判定することが可能です。
また,日本語を解さないためWAIS-Rに代わるものとしても使用されています。

2  平均点などはどのくらいですか
年齢層別の平均と標準偏差は,およそ次の通りとされています。
年齢 :   平均    標準偏差
45-49 : 34.0  2.030
50-59 : 34.2  2.127
60-69 : 29.2  5.398
70-79 : 26.9  5.396
80-89 : 24.9  5.273

3 知能検査としての評価はどうですか
WAIS-Rとの相関関係が認められ推定IQが算定できるとされています。 
相関係数は,次のように言われています(神経心理学評価ハンドブックp79 田川皓一編集 西村書店 )
言語性IQ(VIQ) 0.743
動作性IQ(PIQ) 0.782
全般性IQ(TIQ) 0.789

4 認知症あるいは高次脳機能障害の認知障害にもかかわらず基準点以上の得点の場合の評価はどうですか。
感情の鈍化,興味関心の減退,見当識の低下を伴っている場合にそのようなことが起こるという報告があります。
研究によれば,知能には静的な能力(ability)と動的なコンピテンス(competence)とに区別されます。後者は環境への効果的な働きかけを含むものであり,動的なコンピテンスとしての知能がより低下している症例ではないかという指摘があります。(神経心理学的アセスメント・ハンドブックp142 小海宏之著 金剛出版 )
したがって,基準点以上の得点の場合であったとしても,全体的な知能低下は否定できないのです。


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