Q.自賠責で認定された等級について訴訟ではどのように扱われるのですか。

[労働能力喪失率,後遺障害,等級,自賠責保険,裁判,訴訟]

A.

1 自賠責認定は経験則
自賠法施行令の定めるところは,後遺障害が労働に与える影響の評価に関し,我が国における考え方のいわゆる指標となっているものであることから,自賠責判断の運用と密接な関連のある損害賠償実務においても,その内容は一般的な経験則をなすものとして基礎とされているところです。

2 自賠責認定は,訴訟でも尊重
これまでの実務を見ると,自賠責制度の後遺障害認定手続における判断が,損害賠償請求訴訟における後遺障害による労働能力喪失率の認定判断に当たって,おおむね尊重されてきたといえます。

3 自賠責認定は法的には裁判所を拘束しない
しかし,自賠責の認定は法的に裁判所の認定判断を拘束するものではないために,これを画一的に運用する必要はなく,自賠責制度で認定された後遺障害の程度が被害者の後遺障害の実情に合致しない場合には,それよりも高い(あるいは低い)等級に相当すると認定判断することは可能であるとされています。

4 加害者からの十分な反証が無ければ自賠責認定は維持される
既に後遺障害認定手続においていずれかの等級に該当するとの判断がされているときには,加害者側からの十分な反証のない限り,後遺障害の内容やそれに対する労働能力喪失率等について,自賠責制度におけると同様の認定判断をすることが多いようです。

5 自賠責認定を変更するにはそれぞれの十分な立証活動が必要
それは自賠責の後遺障害認定手続を経たことによって一応の立証ができた状態にあると考えられからです。
したがって,被害者側が自賠責認定等級を超える労働能力の喪失等を主張する場合には被害者である原告がその立証責任を果たさなければならず,他方で,実際の労働能力の喪失がこれを下回る旨等を主張する場合には加害者である被告側が反証として,それぞれその主張するところに沿った立証活動を行う負担を負うとされています。

(以上 「交通事故損害関係訴訟」佐久間邦夫・八木一洋編 青林書院 p153~)

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