Q.後部座席でのシートベルト不着用では,何割くらい減額されますか。

[シートベルト]

A.

平成19年道交法改正の影響を受け基本的に賠償額減額の対象となります。
その割合としては,事故の発生と損害の拡大にどこまで不着用が寄与したかにもよりますが,5%から10%にはなると言えます。

また,高速道路では5%にとどまらず,それ以上の20%となる可能性があると言えます。

しかし,車両が大破してしまってシートベルト着用していても避けることができなかった賠償については,減額の対象にならないと考えます。

1 後部座席のシートベルト着用義務とは,どのようなものですか。   (クリックすると回答)


従来は,努力義務にとどまっていたものの,平成19年道交法改正によって,運転者に対し,後部座席シートベルト着用の義務づけ及び高速道路における違反の場合の行政罰が導入されました。
適用は平成20年6月1日以降です。

平成19年道交法改正以降の判決例はどうですか。

2 後部座席のシートベルト不着用であれば,どのくらい減額されるのでしょうか。  (クリックすると回答)


この着用義務が民事賠償責任にも影響を与えると言うことです。

現役の裁判官からは,従来からの判決例の蓄積からは,運転席や助手席の場合と全く同様に考えて,過失相殺として斟酌して,その割合は5%から10%とすることが,示されています。なお,高速道路と通常道路では,損害の程度も異なることから,高速道路での場合の方が大きな割合(20%)になるとされています。「交通事故損害賠償実務の未来」(法曹會 平成23年3月30日第1版発行 p141~167)。

しかし,シートベルト不着用だからといって,すべて過失相殺をするものではないと考えられます。
シートベルトを装着していれば致命傷を避けることができた場合には過失相殺の対象とするというものです。
それは,「本件事故後のY車両の助手席部分は原型を止めない状態までに大破していることが認められ,仮に被害者がシートベルトを装着していたとしても,被害者が致命傷を受けていたであろうことは容易に推認できるから,被害者のシートベルト不装着が損害の拡大に寄与したとは認められない。」ような場合です(横浜地裁 平成19年1月23日判決)。
この点は,平成19年道交法改正以降も考え方に変化はないと言えそうです。

3 平成19年道交法改正以降の判決例はどうですか。  (クリックすると回答)


「後部座席でシートベルトを装着せずに寝ており、本件事故の衝撃で顔面や膝を窓ガラスにぶつけるなどし、右頬部挫創、頸椎捻挫・挫傷、左膝挫創等の傷害を負った。損害の発生と拡大にシートベルト不着用が影響していることは否定できない。」
として,10%の減額をしています。(名古屋地裁 平成26年5月28日判決)

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