Q.頚(頸)髄損傷とは何ですか。後遺障害(後遺症)はどうですか。頚椎骨折脱臼との関係はどうですか。

[ジェファーソン骨折,中枢神経,常時介護,環椎骨折,頚髄損傷]

A.


頚髄損傷は,頚部にある中枢神経の損傷です。
頚髄損傷は,頚椎脱臼骨折により生じることが多くありますが,

脱臼骨折がなくても,生じることもあります。

損傷した頚髄の部位によっては,生命の危険があったり,重度の後遺障害が残すことがあります。


1 頚髄とは何ですか。(クリックすると回答)


頚(頸)髄は,首の部分にあります。頚とは首の意味です。

脊髄の首の部分
脊髄→背骨の中の脊柱管を通っている中枢神経

頚髄=首の部分の中枢神経

重症化の可能性大
最悪の場合には死亡,救命されても要介護状態のリスク大


2 その頚髄がどのようにして損傷してしまうのですか。(クリックすると回答)


頚髄を保護する頚椎
頚椎は7つあり,椎体と椎体が椎間板で連結
頚髄損傷の最も多く見られるのは過伸展損傷,次に過屈曲損傷,+それらに回転力

①強い外力→本体部分の骨である椎体がずれて頚髄を損傷
あるいは,
②強い外力→頚椎を支えている黄色靱帯・後縦靱帯が骨化したものが頚髄を直接にサンドイッチにして圧迫損傷

①OR②,①+②


3 頚椎の脱臼骨折と脊髄損傷とは関係しますか。(クリックすると回答)


多くは,椎体がずれたり破壊されて頚髄損傷となり関係
頚椎の脱臼骨折があると頚髄損傷が起こりやすい
重症度は,頚椎の部分による

4  頚椎脱臼骨折の部分に対応する重症程度は,どうなりますか。(クリックすると回答)



1 環椎骨折(Jefferson/ジェファーソン骨折)
C1(第1頚椎=環椎)の破裂骨折
頚髄損傷となると,ほぼ即死

> 2 環軸関節脱臼
C1(第1頚椎=環椎)とC2(第2頚椎=軸椎)との間にある関節
脱臼の多くは,屈曲外力により生じる
頚髄損傷となると,ほぼ即死

3 軸椎骨折>
C2(第2頚椎=軸椎)の骨折→歯突起骨折OR軸椎関節突起間骨折(Hangman骨折)。
歯突起骨折→重症化せず予後は良い
軸椎関節突起間骨折(Hangman骨折)→椎体と椎弓が離開をして外傷性軸椎すべりとも呼ばれ,名称の語源どおりほぼ即死

4 中・下位(C2から7)頚椎脱臼骨折
この部分の頚椎は,ほぼ同様の形態
即ち,左右後側方の椎間関節と前方椎体間の椎間板(軟骨結合)で構成
構造形態が同じために損傷も極めて類似
C4より高位の損傷が重症
椎弓と棘突起の骨折以外は,頚髄損傷の発生の可能性は高い


5 後遺障害(後遺症)は,どのようになりますか。(クリックすると回答)


頚髄損傷は,四肢麻痺,そして五肢麻痺(pentaplegia,四肢麻痺+頚部麻痺),さらには呼吸筋麻痺による呼吸機能障害を含めたのリスク
基本的に発症部位に関連して残存能力がどこまであるかが,あるいは,どこまで今後のADL(日常生活)に活用できるかの問題


ちなみに考えられる等級は,次の様なものです。

一応の目安ですが,脳=延髄に近い部分が損傷するほどに後遺症は,重篤と言えそうです。
そして,生命に関わるものです。救命されたとしても,重度です。
麻痺の範囲と程度との関係では以下のとおりに判断されます。

別表第1
1級1号【常時介護:常に他人の介護を要するもの】
2級1号【随時介護:随時介護を要するもの】
別表第2
3級3号【介護を要さないとされるもの】

C4以上の高位での損傷は,1級1号,C5,6は2級1号,C7は2級1号または3級3号と考えられます。


6 頚髄損傷ではどのような点が争点となるのでしょうか。(クリックすると回答)



むさしの森法律事務所における受任案件の実例です。
Aさんは,自転車で道路を横断中に,前方無視の乗用車に衝突され,頭をフロントガラスにぶつけられて,首をはさまれて顔が車内に入り込む状態となりました。
その結果,第4,5頚椎脱臼骨折をして頚髄損傷となりました。
Aさんは,四肢麻痺として私どもの被害者請求申請により後遺障害(後遺症)1級1号の認定を受けました。

Aさんの場合には,自宅介護を希望していますが,その点の建物,介護人という介護体制のことが争点でした。
同様に,介護を要する頚髄損傷による後遺障害では,同様に争点になりやすいと考えられます。

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