Q.眼筋麻痺とは何ですか。後遺障害(後遺症)は,どうなるのでしょうか。

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A.

脳神経である動眼(Ⅲ),滑車(Ⅳ),外転(Ⅵ)神経の機能として

動眼(Ⅲ)神経は,眼瞼挙上(まぶたを挙げる),眼球内転・上転・下転,瞳孔縮小を司るものです。

滑車(Ⅳ)神経は,内転眼の下転を司るものです。

外転(Ⅵ)神経は,眼球の外転を司るものです


これらの障害は眼筋麻痺を生じさせます。

眼筋麻痺にも
(1)斜視
(2)複視
(3)滑車神経麻痺があります。



1 斜視とは

外直筋が麻痺をすると障害を受けている側の眼球は鼻側に寄っていきますが,
障害を受けていない健側の眼球も鼻側に固定されます。これが内斜視です。

内直筋が麻痺すると障害を受けている側だけでなく健側の眼球も耳側に固定されます。
これが外斜視です。

なお,斜視による眼球運動障害あるいは視野障害が生じている場合には後遺障害として評価されます。

なお,失明している眼球にさらに斜視がある場合に醜状として評価した判決があります
東京地裁  平成4年1月21日判決 <出典> 自動車保険ジャーナル・第976号交民集25巻1号35頁

斜視(リンク)



2 複視とは


複視とは,ものが二重に見えることです。
より,厳密に言えば,1つの物体が2つに離れて見える状態を言います。

眼球運動の障害です。そして,それは眼を動かす筋肉の麻痺によるものです。

動眼(Ⅲ),滑車(Ⅳ),外転(Ⅵ)神経の障害は眼筋のそれぞれ支配するものを麻痺させますので
眼球の偏奇(片より)を生じさせて複視となります。

偏奇の方向等により障害されている脳神経が特定されます。

複視リンク)




3 滑車神経麻痺とは


滑車神経麻痺が生じていると,下内方向を見ることができなくなります。階段を下りていくことが困難となります。
歩行に異常が見られないのに,階段を下りることができない場合には滑車神経麻痺が疑われます。

また,右滑車神経麻痺がある場合には,頭を健側である左に傾け顔を左に向け,顎を引いて頭を下に下げる姿勢をとります。

逆に,左滑車神経麻痺がある場合には,頭を健側である右に傾け顔を右に向け,顎を引いて頭を下に下げる姿勢をとります。

この様に頭の位置のずれがあれば滑車神経麻痺が疑われます。

この様に,下内方向を見ることができなくなる代償として不自然な頭の位置の取り方をするのです。

滑車神経麻痺だけでは発症することは極めて希であるとされています。
つまり頭部外傷による場合くらいとされているのです。

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