Q.既存の障害を克服したと言える場合までも,賠償額の減額をされるのでしょうか。

[労働能力喪失,幼児,既存障害,減額,自賠責]

A.

自賠責後遺障害認定において,既存の障害について減額の対象となります。
そして,既存の障害とは,過去の交通事故によるものではなくとも,先天的あるいは幼児期の病気によるものも含まれるとされています。
しかし,身体障害について言えば,トレーニングを含めた努力により克服できる場合には合理的に考えても,既存障害として減額をすべきではないと言えます。

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1 既存障害による減額

自賠責後遺障害認定において,既存の障害について減額の対象となります。
そして,既存の障害とは,過去の交通事故によるものではなくとも,先天的あるいは幼児期の病気によるものも含まれるとして実際にも運用されています。


2 現実的な合理性

乳幼児期の脳性麻痺による身体障害について,上肢あるいは下肢麻痺があり生育期に克服のためにトレーニングに励み,健常者レベルに近づいた,あるいは,超えるレベルに到達することは珍しくありません。
自賠責においての既存障害による減額があったとしても,すべて賠償においてその通りの減額を行うべきか,現実的な合理性が問題になることがあります。


3 結論

知的障害が無く,通常に就労しているような場合で,歩行も,ほとんど不自由なくできて自動二輪車も運転していたようであれば,例え自賠責において幼児期の脳性麻痺による下肢麻痺12級相当として減額をしていたとしても,労働能力喪失を認定等級どおりに認める例(大阪地裁 平成22年3月8日判決<出典> 自保ジャーナル・第1839号) もあります。

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