Q.自転車対自動車(四輪車)の事故で,自転車が右側通行していた場合の過失相殺率はどうなりますか。また,路側帯を自転車が右側通行していた場合に違いはありますか。

[自転車,路側帯,過失相殺]

A.

自転車は,原則として道路の左側部分を通行しなければならず,特に車両通行帯の設けられていない道路では,道路の左端に寄って通行しなければならないとされています。
すると,右側通行が過失相殺において問題となることがあり,具体的には,
自転車が右側通行をし,かつ,車両から見て左方から進入した場合には,自転車の右側通行を(自転車の過失の)加算要素(5%)とされます。

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なお,詳細は続きをご覧ください。

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1  自転車の通行の原則

自転車を含む軽車両は,原則として道路の左側部分を通行しなければならず(道路交通法17条4項),特に車両通行帯の設けられていない道路では,道路の左端に寄って通行しなければならない(道路交通法16条本文)とされています。

なお,車両通行帯の設けられている道路とは,片側二車線以上の道路であり,したがって車両通行帯の設けられていない道路とは,片側一車線の道路です。
ところで,車両通行帯の設けられている道路では,自転車専用通行帯が設けられている場合を除き,基本的に,第一通行帯の中を通行しなければならないとされています。


2 路側帯の通行

自転車は,道路の左側に設けられた,歩行者用路側帯以外の路側帯であれば,著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き,路側帯を通行することができます。

かつて自転車を含む軽車両は,道路の左側部分・右側部分の区別なく路側帯を通行できましたが,平成25年12月1日施行の改正法で道路の左側部分に設けられた路側帯のみ通行できることとなりました(道路交通17条の2)。したがって,道路の右側部分の路側帯を通行している場合には,右側通行となります。

 


3 路側帯と車道外側線の違い


路側帯とは,歩道が設けられていない道路(又は設けられていない側)において,道路標示によって区画することにより設けられた歩行者用の通路です。
ところで,路側帯の様式は,車道外側線の様式と同一であるために,車道外側線が路側帯としての道路標示を兼ねるかどうかについては,道路に歩道が設けられているかどうかによって変わってくることになります。

歩道が設けられていない道路において,車道外側線は,路側帯を兼ねるものとなります。
しかし,歩道が設けられた道路には,路側帯は存在しないこととなるため,車道外側線は路側帯としての意味を持たないことになります。


4  自転車の右側通行と過失

自転車の右側通行そのものは,道路交通違反です。
しかし,そのことが事故の原因となるかということとは別問題であり,また,長く自転車の右側通行という「悪しき」慣行が現状では形成されています。

別冊判例タイムズ38号「過失相殺率の認定基準」では,「自転車が右側通行をし,かつ,車両から見て左方から進入した場合にのみ,自転車の右側通行を(自転車の過失の)加算要素(5%)とすることができる」としました(同p387)。
その理由は,その場合には車両から見て事故の回避を困難とさせるからとしています。
自転車が右側通行をしていても,車両から見て右方進入する場合には,逆に自転車を現認できる時間が長くなり事故を回避する可能性が増すことから要素とはしないとしています。

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