Q.脳損傷によるハイパーモラル症候群とは何ですか。

[ハイパーモラル症候群,前頭前野,眼窩部,辺縁系]

A.

前頭葉眼窩部は、大脳辺縁系に関係して道徳的判断に関与します。
そこが損傷することで、生じる高次脳機能障害がハイパーモラル症候群です。
それは、反社会性とまではいえないものの、過剰に他人の行為が動議・道徳に反するかに関心を持ち、それを言動に表してしまうものです。
人格変化としてもとらえにくいものの、学校・会社・社会でトラブルを起こしやすく円滑な人間関係を保ちにくくなります。

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1 前頭葉眼窩部は、どこにありますか。
眼窩とは、眼のくぼみという意味です。そのことからも分かるとおり、前頭葉眼窩部は、前頭前野にあります。そして、大脳辺縁系との関係があるとされています。
前頭葉眼窩部は、英語ではorbitofrontal cortex(OFC)と称されます。

2  前頭葉眼窩部損傷とモラル
モラル(道徳)とは、「共同体の構成個体が社会的な行為を産出する際にしたがうべき規範および価値の集合」と定義されています。
モラルについては、「こころ」あるいは「社会倫理」の問題として自然科学とは異なる分野でもっぱら議論されていました。
ところが、脳の機能の解明がすすむことによって自然科学的な構造が明らかになってきています。
すなわち、モラルは、前頭葉眼窩部(OFC)をはじめとした脳の各領域とのネットワークにより産出されてくることが分かってきています。
モラルに基づくモラル的(道徳的)判断は、健常者であったとしても必ずしも一貫性がないときがあります。例えば、自分の都合でぶれることはありますが、多くは了解ないし妥当な範囲に収まっています。
ところが、前頭葉眼窩部(OFC)損傷においては、ハイパーモラル症候群と呼ばれるものが出現することが最近の知見となっています。

3 ハイパーモラル症候群とは何でしょうか。
ハイパーモラル症候群と言う言葉は聞き慣れないと思います。
前頭葉眼窩部(OFC)損傷では、自分勝手と思われるような自己の信念や願望に固執して画一的な行動となり自分のことはとりあえず棚に上げてしまって、他人の行動、特に不正や許せないという「過剰な正義感」「過剰な道徳心」にとらわれることがあります。
自分の心の内に秘めさせておくことができずに、他人の無礼な態度・行動が些細なものであっても許せず、規則違反も許せず、学校や社会においてトラブルを起こすトラブルメーカーになっていきます。
モラルに過剰にうるさいと言うことからハイパーモラル症候群と呼ばれます。

例えば、
横断歩道をわたらない人がいると強くなじったり、駐車違反をしている車両をみると腹を立てて車に傷をつけたりする。
騒音や人の話し声,食事音などを極端に嫌悪するようになり、露骨に不快な表情をする。公共ルールを守らない人,たとえば電車の中でマナーの悪い若者や、狭い商店街を通り抜けようとする車、歩道を走る自転車などに対しては挑発的な態度をとる。

参考文献
三村將 前頭葉眼窩部とモラル 臨床神経学2010年
三村將 前頭葉の臨床神経心理学 高次脳機能研究2010年6月号    

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