Q.尺骨神経麻痺とは何ですか。後遺障害(後遺症)となりますか。

[フロマン徴候,尺骨神経麻痺,手関節]

A.

手に分布する神経には,正中神経・尺骨神経・橈骨神経があります。
尺骨神経は,肘の内側を通って前腕に至るものです。
上腕では全く分布せずに尺骨間を通って前腕に達し,前腕では尺側指根屈筋のみを支配します。
回復をしなかった場合には,麻痺として尺骨神経支配領域における筋力低下が残ります。
その場合には,可動域制限として後遺障害に該当する可能性があります。

1 尺骨神経と麻痺 (クリックすると回答)


手に分布する神経には,正中神経・尺骨神経・橈骨神経があります。
尺骨神経は,肘の内側を通って前腕に至るものです。

上腕では全く分布せずに尺骨間を通って前腕に達し,前腕では尺側指根屈筋のみを支配します。

そして,指では母指球筋の母指内転筋のみを支配し,小指球筋では,このすべての神経が分布します。
脊髄神経根であるC8(第8頚椎神経)とT1(第1胸椎神経)の神経根と連絡を持っています。


尺骨神経麻痺の原因としては,開放創が多いですが,上腕骨上顆骨や内上顆骨折等の骨折に合併する非開放性損傷による場合もあります。
さらに絞扼性として肘部管症候群(遅発性尺骨神経麻痺),尺骨管神経症候群(ギヨンGuyon管症候群)があります。

2  後遺障害(後遺症) (クリックすると回答)


麻痺として回復をしなかった場合には,尺骨神経支配領域における筋力低下が残ります。
鉤爪手clawfingerであれば指関節,あるいは高位麻痺による手関節屈曲力が低下等です。
これらでも,自動はできなくとも他動が可能であることがあります。
しかし,現時点の基準でも,このように,末梢神経を原因として弛緩性の麻痺となって他動では可動するものの,自動では可動できない場合に,可動域制限がないとするのは適切ではないとされています。

そこで,自動による可動域制限が認定されることになります。

なお,手関節の可動域制限については,こちらの記事をご覧下さい。
手関節の可動域制限による後遺障害(後遺症)は何級ですか。---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所(リンク)

3  フロマン徴候(クリックすると回答)



尺骨神経麻痺でみとめられるものです。拇指内転筋の脱力を示すものです。

拇指と示指に紙を挟んで引くと,健常ならば拇指のIP関節は伸びるのですが,麻痺した側は,拇指のIP関節を大きく屈曲させます。

肘部管症候群,尺骨間症候群の診断に用いられています。

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