Q.ズデック(ズーデック,Sudeck)骨萎縮とは何ですか。後遺障害(後遺症)は,何級ですか。
ズデック(ズーデック,Sudeck)骨萎縮とは四肢の外傷後に急性に現れる痛みを伴う骨萎縮です。
末梢神経損傷を伴わないRSDに分類されており,この点でカウザルギーとは異なります。
打撲や骨折などの外傷によって幹部より末梢の骨が急性に萎縮する症状を言います。
骨折に合併して自律神経系の血管運動神経失調によって末梢血管への血流不全が起こることから来ると言われております。
好発しやすいのは手足であり,中でも橈骨遠位端骨折(コーレス骨折),足関節内果骨折,足関節外果骨折,踵骨骨折に多いとされています。
また,末梢神経損傷の有無にかかわらず発症することから,現在ではRSD(反射性交感神経ジストロフィー)の一つとされています。
ズデック骨萎縮は,カウザルギー,RSDと同様に交感神経性の反射で生じた神経循環系の異常反応による骨萎縮と考えられています。
なお,末梢神経損傷があるものをカウザルギー,それがないものをRSDとしています。
ズデック骨萎縮は,末梢神経損傷のないものでRSDに属しております。
しかし,医学的な問題としても治療上への影響がどれほどあるのかは不明です。
診断経過の中で,あるいは傷病名としても変化する事例も少なからずあると考えられます。
四肢の疼痛(灼熱感)
血管運動神経失調(皮膚温・皮膚色調の変化,浮腫)
発汗異常
関節拘縮 (なお,そのまま進行した場合)
関節拘縮となった場合には,可動域制限となりその程度に応じた機能障害として認定されます。
ちなみに,橈骨遠位端骨折から関節拘縮して可動域制限を生じた場合には次の通りになります。
(1)10級10号(著しい障害)
関節の可動域が健側の可動域角度の1/2以下に制限されているもの
(2)12級6号(単なる障害)
関節の可動域が健側の可動域角度の3/4以下に制限されているもの
後遺障害における問題点は,カウザルギーとRSDの区別に由来します。
つまり,後遺障害認定は,カウザルギーとRSDの区別を従来通り残しており,
カウザルギーを前提として,RSDの認定基準もカウザルギーに準じる要件を要求しているのです。
そのために,RSDにおいては認定が結果として厳しくなっている可能性があり,訴訟でも争われています。
RSDに該当するかは,
労災補償基準では
①関節拘縮
②骨の萎縮
③皮膚の変化(皮膚温の変化,皮膚の萎縮)
という慢性期の主要な3つのいずれの症状も健側と比較して明らかに認められる場合に限り(認定の3要件),カウザルギーと同様の基準によるとされています。
(労災補償障害認定必携第15版p160)。
そして,自賠責保険における後遺障害認定では,この労災補償基準に準拠することから,RSDの認定においては3要件を充たしていることが必要となっています。
なお,ズデック骨萎縮では,廃用性の萎縮ではないかと争いになることもあります。
RSDに該当すれば以下の等級となります。
a)7級4号
神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの
b)9級10号
神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
c)12級13号
局部に頑固な神経症状を残すもの
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橈骨遠位端骨折(リンク)
手関節の可動域制限(リンク)
足関節の可動域制限(リンク)
足関節果部骨折(リンク)