アキレス腱断裂に関して後遺障害10級を認めた判決です。

[10級,MRI,アキレス腱断裂,可動域,後遺障害,素因減額,足関節]

アキレス腱断裂があったか否かが争点となりましたが,判決は,断裂を認めて併合10級後遺障害としました。
京都地裁 平成17年1月27日判決(確定)
事件番号 平成15年(ワ)第3270号 損害賠償請求事件
<出典> 自動車保険ジャーナル・第1599号(平成17年7月28日掲載)

【事案の概要】
被害者(当時,41歳女子主婦の被害者は,平成12年12月10日午後3時30分ころ,京都市内で歩行中,加害者が運搬する台車に右足後部から衝突されました。
被害者は,本件事故により,アキレス腱部分断裂,足関節拘縮,アキレス腱腱膜炎の傷害を負い,平成12年12月12日から平成14年12月14日まで通院治療を受け,同日症状が固定しましたが,右足関節に後遺障害等級表(以下「等級表」という。)10級11号に該当する著しい機能障害,等級表12級12号に該当する右足関節後面の疼痛が残ったものです。

----------------------------

なお,詳細は続きをご覧ください。

続きを読む


【判決の趣旨】
被害者の症状は平成14年12月14日固定し,
(ア)自覚症状として,右足関節後面の疼痛(杖歩行を要す),階段昇降困難,易転倒性,右下腿腫脹があり,
(イ)他覚所見として,平成13年12月15日撮影のMRI上,右アキレス腱の明らかな延長を認め,これは下腿三頭筋の短縮によると認められ,また右アキレス腱近位部に瘢痕形成を認めることから,右アキレス腱に陳旧性断裂が存在し,顕著な圧痛もあるとされ,
(ウ)右足関節の可動域測定の結果,背屈が,他動及び自動で右0度,左15度,底屈が,他動で右25度,左45度,自動で右15度,左45度であり,
(エ)予後について,障害の改善は困難であり,事故後顕著な肥満を来しており,これによる症状増悪の可能性も高いと診断した。
以上によれば,被害者は,本件事故によりアキレス腱部分断裂を受傷したと認めるのが相当である。

そして,被害者の症状は,平成14年12月24日固定し,後遺障害として等級表10級11号に該当する右足関節の著しい機能障害,等級表12級12号に該当する右足関節の疼痛が残ったと認めるのが相当である(確かに,当初被害者には右足関節の機能障害は認められないが,後記の肥満症などの影響でその後増悪したと窺えるし,平成15年2月24日の測定では背屈0度,底屈60度となっているが,底屈の正常可動範囲は45度であり《後遺障害認定基準》,から窺える測定値の訂正方法などに照らすと,上記結果は測定方法の違いに起因するものであると窺えるのであって,上記可動域制限の存在を否定することはできない。)。

【コメント】
比較的予後がよいとされているアキレス腱断裂ですが,本件は,肥満症などもあって足関節の機能障害及び神経症状(疼痛)が残存した例です。
アキレス腱断裂そのものの存在が争点となりましたが,本件は自覚症状に加えて,事故から約1年後のMRI画像上の陳旧性断裂の存在が大きな決め手となりました。

交通事故における賠償や過失判例をご覧いただき、さらなる疑問にも弁護士として明確にお応えいたします。お気軽にご相談ください。

0120-56-0075 受付時間:月~金(土日祝日も対応)午前9時30分~午後10時

フォームからのご相談予約はこちら

ページの先頭へ戻る