67歳は一家の支柱か死亡慰謝料に関して問題となった判決です。
未成熟な扶養家族がなく,厳密には一家の支柱とは評価し難いと,死亡慰謝料を2500万円とした判決です。
東京地裁 平成13年3月27日判決
<出典> 交民集34巻2号454頁
被害者(事故当時67歳)は,妻と同居の二人暮らしでした。
平成10年の事故でしたが,被害者は,以前より会社に経理担当として勤務して収入を得ていた事実は認められ事故前年の収入は528万円でした。その代理人の主張によれば少なくとも75歳まではその会社に勤務する予定でした。
そして,その相続人を見ると,妻と兄弟,甥であり,養育の必要性な子はおりません。
そのような場合には,死亡における「一家の支柱」と言えるのか,そして死亡慰謝料金額はどうなのかが問題となります。
死亡慰謝料に関しては,被害者の年齢や,未成熟の子がないことを考慮すると,厳密な意味では,一家の支柱との評価し難く,慰謝料としては2500万円が相当である。
被害者の相続人を見ると,妻と兄弟,甥であり,養育の必要性な子はおりません。
被害者は妻と同居の二人暮らしでした。
そのような場合には裁判所は「一家の支柱」そのものとは見ないということです。
しかし,妻との同居ということで「一家の支柱」に近づけた金額で判決したものです。
「当該被害者の世帯が,主として被害者の収入によって生計を維持している場合をいう」との「一家の支柱」の定義が予定しているのは,基本的には高齢者夫婦のような場合ではなく,養育すべき未成熟の子がいる家族構成であることを示唆するような判決です。