妊娠中の主婦が受傷した場合の休業損害に関する判決です。

[リハビリ,主婦,休業損害,基礎収入,妊娠,賃金センサス,12級]

妊娠中の専業主婦(固定時28歳,左足関節の可動域制限12級7号)につき,賃セ女性全年齢平均を基礎収入として,出産のため入院した8日間を除き受傷日から出産のための入院の前日まで242日間は100%,退院の翌日から90日間は60%,その後症状固定まで50日間は30%で休業損害を認めました。

東京地判平成15年12月8日
交民集36巻6号1570頁

【事案の概要】   (クリックすると回答)


被害者は,専業主婦として稼働していたが本件事故によって負傷し左足関節の可動域制限12級7号を残しました。
そして,事故後に妊娠が分かり事故による治療期間中に出産をしました。
平成13年7月26日から平成14年8月19日まで治療をして,出産のため平成14年3月25日から同年4月1日までの間,産科に入院し,同年3月26日,3女を出産しました。

このような場合に,休業損害はどう判断するかが争いとなりました。

【判決の趣旨】  (クリックすると回答)


休業期間を3段階に区切って段階毎に喪失率を分けています。
1 平成13年7月26日から平成14年3月24日までの間(242日間)は100%
2 平成14年4月2日から同年6月末日までの間(90日間)は60%
3 平成14年7月1日から同年8月19日までの間(50日間)は30%

基礎収入として平成13年賃金センサス第1巻・第1表における産業計・企業規模計・学歴計の女性労働者の全年齢平均年収352万2400円を採用しています。

【コメント】  (クリックすると回答)


本件は,受傷してから妊娠が分かり,事故による治療期間中に出産をした事案です。
判決は,
1 平成13年7月26日から平成14年3月24日までの間(242日間)は100%
2 平成14年4月2日から同年6月末日までの間(90日間)は60%
3 平成14年7月1日から同年8月19日までの間(50日間)は30%
と3段階に期間と喪失率を区切っています。

これは,「出産のため,平成14年3月25日から同年4月1日までの間,つくばセントラル病院に入院し,同年3月26日,3女を出産したこと」が,第1の期間を区分する理由となっています。

すなわち,出産のために入院するまでが1の期間です。この期間は100%認めました。

そして,平成14年4月3日から同年8月19日までの間(実日数53日間),牛久愛和総合病院に通院し,事故による受傷に対するリハビリを行いましたが,それが,上記の2及び3の期間に対応しています。

治療もリハビリのみとなった状態であったので,100%の労働能力喪失ではないとされたのだと考えます。
そして,2と3の期間で60%と30%と大きく違いをもうけています。

これは,3の期間である平成14年7月1日以降はリハビリの頻度がそれまでは月17回(ほとんど隔日以上)であったものが,月8日から4日と大きく減少しており,症状固定に向かいながらも家事就労の制限も減少していったとうかがわれるからと判断されたと考えます。

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