点滅信号交差点における過失割合はどうなりますか。黄色対赤色なら黄色が優先しますか。
点滅信号は,「信号機により交通整理が行われている」ものではありません。 1 点滅信号は,交通整理になりますか。(クリックすると回答)
2 点滅信号でも赤点滅と黄点滅がありますが,違いはないのですか。(クリックすると回答)
3 自分は黄色点滅で交差点に入ったのですが,相手方は赤点滅ですが,当然自分が優先すると考えたのですが,どうですか。(クリックすると回答)
4 しかし,結果から見ると黄色点滅に分が良いように思えますね。(クリックすると回答)
5 どころで両方とも黄色点滅信号という場合もありますが,それはどうなりますか。(クリックすると回答)
6 そうすると,一時停止規制や道路の幅などの点がむしろ信号より重要と言うことですね。(クリックすると回答)
過失割合については,色ではなく道路の形状や車両の速度等から判断されます。
したがって,黄色点滅が赤点滅に優先するとはなりません。
点滅信号は,「信号機により交通整理が行われている」ものではありません。
「信号機により交通整理が行われている」とは,信号機の信号により,交互に一方の交通を止め,他方を通す方法で交通規制が行われている場合をいいます(東京高裁昭和46年12月22日判決)。
黄点滅は,「他の交通に注意して進行することができること」であり,赤点滅も,実は「他の交通に注意して進行することができること」であります。
すると,黄点滅にしても赤点滅にしても「信号機により交通整理が行われている」とは言えないのです。
色だけ考えると優先するように思えます。
しかし,いずれも「信号機により交通整理が行われている」ものではありません。
黄点滅が赤点滅に優先するのではないので,被害車両も徐行すべき義務があったとして,考え事をして信号にすら気づかない被告に著しい過失があるのに対し,被害車両の過失を20%として過失割合を決めた判決があります(名古屋地裁 平成23年4月1日判決<出典> 自保ジャーナル・第1853号)。
夜間における,黄点滅自動車と赤点滅自動車の出合頭衝突の過失割合についても,「進行してくる車両に対処し得るように速度を制御しながら走行することが期待されていたというべきであり,これが不十分であったことも本件事故の一因となっているものとして,黄色点滅自動車に2割の過失相殺を行うのが相当であるした判決(岡山地裁 平成23年6月23日判決<出典> 交民集44巻3号800頁)もあります。
たまたま黄色点滅の過失割合が小さい判決となったけだと思います。
判決例は,あくまでも点滅信号は交通整理ではないという前提に立っています。
具体的な交差道路の状況や,双方の車両速度や運転方法から導いた結果です。
あくまでも点滅信号は,「信号機により交通整理が行われている」ものではありませんから,信号の色により決めるものではありません。
道路の形状やそれぞれの車両の速度,一時停止の有無などから総合的に判断されるものと考えます。
この点については,
双方が黄色点滅信号を示す交差道路から進入した車両同士の衝突事故につき,双方黄色点滅信号の交差点は,道路交通法上,交通整理の行われていない交差点にあたるものと解すべきであるとして,その上で,道路幅員も考慮しつつ,双方の速度程度を基本に過失割合を認定し6:④と速度違反側を重した判決があります(千葉地裁 平成10年11月24日判決)。
はい。
そうなります。
点滅信号の場合に,色の違いに執着しても争点を見誤ることになります。