骨折後の神経症状(14級9号)の逸失利益喪失期間を67歳までとした)についての判決です。
平成22年賃金センサス女性高卒45歳~49歳の年収額である315万4,800円を基礎収入とし,
症状固定時45歳から,就業可能年数は22年として,労働能力喪失率は14級9号に該当する5%を用いて認定しました。(加害者側は5年間を主張)
さいたま地裁平成25年1月29日判決(確定)
事件番号 平成24年(ワ)第218号 損害賠償請求事件
<出典> 自保ジャーナル・第1895号
(平成25年6月13日掲載)
入社2年目44歳女子会社員の被害者は,平成22年5月29日原付自転車で直進中,被告運転の乗用車と出合頭衝突して,左鎖骨骨折等で8日入院を含む約11ヶ月通院しました。その結果,自賠責14級9号後遺障害認定を受けました。
「E会社において稼働しているところ,入社2年目であり,今後昇給の可能性もあり,賃金センサスの平均賃金程度の収入を得る蓋然性がないとはいえないから,平成22年賃金センサス女性高卒45歳~49歳の年収額である315万4,800円を基礎収入とするのが相当である。」が,結論です。
一方では,「本件事故前3ヶ月の給料は,平成22年3月が20万8,287円,4月が21万8,888円,5月が18万0,812円であり,この合計を90日で割ると1日当たりの基礎収入額は6,755円となる。」と,休業損害ではされていますので,6,755円×365日=246万5575円と実収入ではなります。
従って,実収入よりも約3割増しの基礎収入を認めたことになります。
判決は,「原告は症状固定時45歳であるから,就業可能年数は22年として」のみしか述べておらず,理由は明らかではありません。
原告の主張は,「本件事故による傷害により,傷害部位に痛みやしびれが持続しており,特に左腕を挙げるときには激しく痛み,作業をするにも困難を伴い」とあります。
他方で,被告は,自賠責14級9号後遺障害認定であることから,頚椎捻挫と同様の最大でも喪失期間は5年間という主張をしております。
従って,裁判所は「骨折後」の疼痛やしびれと言った神経症状に関して本件では頚椎捻挫のように,ほぼ画一的に5年間とするものではないというスタンスを示していると言えます。