美容整形をした鼻が事故で損傷した再手術費用を認めた判決です。
美容整形で隆鼻の形成をしたところ,顔面打撲でシリコンが可動して,再度形成手術をした事例です。その場合に,美容整形をしていなければ損傷が生じなかったとして「素因」であるかが争われました。
東京地裁 平成19年10月4日判決<出典> 交民集40巻5号1312頁
隆鼻手術によるシリコンプロテーゼの挿入は疾患に当たらないことは明らかである。
また,隆鼻手術を含めた形成手術は一般人の誰もが受けるものとまではいえないものの,形成手術は一般的に認知されてきており,形成手術を受けた者が通常人の平均値から著しくかけ離れた身体的特徴を有する者とまではいえず,損害賠償の額を定めるに当たり斟酌すべき特段の事情も認められない。
したがって,これを損害賠償の額を定めるに当たり斟酌するのは相当ではない。
以上の理由から,
判決は,減額となる「疾患」どころか「身体的特徴」には当たらないとして再手術費用を認めました。
但し,欠損障害等の後遺障害については該当しないが,傷害慰謝料の増額を認めました。