就職予定だった会社へ事故により就労できず無職だった場合に休業損害を認めた判決です。
事故当時は無職でしたが,事故前に雇用契約を締結していた被害者(男・61歳)について,雇用契約の月給額を基礎(収入)として(休業損害を)認めました。
名古屋地判平成23年5月20日
自保ジャーナル・第1853号(平成23年9月8日掲載)
原告が,本件事故当時は無職であり,休業期間の始期は,平成19年5月1日であると認めるのが相当である。
また,原告は,雇用契約は一時的なものであったと主張するが,3ヶ月の雇用期間があることからすれば,少なくとも3ヶ月は雇用契約に従って勤務する予定であったと認めるのが相当である。
そして,平成20年2月になるまでの短期間で,それとは別の職に就く予定があったことについては特段の主張,立証がないから,平成19年5月から平成20年1月までの9ヶ月間は,上記の雇用契約により月額20万円,合計180万円を得る予定であったと認めるのが相当である。
本件被害者は定年退職後であり事故当時は無職であったが,他の会社の短期雇用契約を締結していた事例です。
そして,本件事故により結局現実の就労はできないことになりました。
事故日である平成19年4月7日から,その後平成20年1月31日まで就職ができずに無職者でありましたから,その無職者の間の休業損害が認められるかどうかが問題となりました。
無職者について休業損害が認められる要件としては以下のことが挙げられます。
1 職歴があり,その際の収入状況が立証されている
2 無職者となったことについての合理的な説明ができる
3 事故当時,就労可能な心身の状況にあったといえる
4 事故当時,求職活動を行っていたと言える
本件では,特に異論なくこの要件は満たされていると言えると考えます。