会社員が,現実収入を上回る基礎収入で逸失利益を算定された判決例です。

[基礎収入,給与所得者,賃金センサス,赤い本,逸失利益,9級]

会社員(男・固定時35歳)が併合9級(左足第1ないし5指の機能障害で9級15号と左足部瘢痕14級5号)と認定されました。

事故年度の現実収入は事故前年の収入が270万円余でしたが,逸失利益判決の基礎収入を賃セ男性学歴計全年齢平均555万円余の7割である385万2,730円とされました。
京都判平成23年1月21日
交民集44巻1号64頁

【コメント】
本件は,比較的若い給与所得者でしたが,30歳未満の若年者ではありません。
そして,本件事故の被害に遭うまで一貫して同じ会社に勤務して,治療中に会社は倒産しています。事故前年の収入が270万と賃金センサスの平均額を大きく下回ります。

勤務先会社は,平成20年12月31日に倒産に至っており,会社の経営状態により賃金が低額となっていた可能性がありました。

本件事故前に健康上の問題は窺えず,有機溶剤作業主任者の資格を有していることや年齢等を考慮すれば,倒産後の再就職の可能性は十分にあったといえるものでした。

このようにして倒産したことを経営状態が悪くなっていたために,被害者の潜在的実力と賃金が必ずしも比例していなかったのではないか,という評価をしています。
バランスをとった判決と言えそうです。

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