異議により等級変更をされたとしても時効は中断せず,損害賠償請求権は時効消滅することを示した判決です。(最高裁 平成16年12月24日判決)
当初の自賠責・後遺障害等級事前認定非該当、異議申立てにより12級認定された事案においても、自賠責の事前認定は自賠責の査定にすぎず、賠償請求権の行使を何ら制約しないとし、
時効の起算日は症状固定の診断を受けた日から進行すると判断をして,「認定された以降」として被害者側の主張を退けました。
その結果,自賠責保険金を超える損害賠償請求権は時効により消滅しているとされました。
最高裁 平成16年12月24日判決
【判決の該当箇所】
被上告人は、遅くとも上記症状固定の診断を受けた時には、本件後遺障害の存在を現実に認識し、加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に、それが可能な程度に損害の発生を知ったものというべきである。
自算会による等級認定は、自動車損害賠償責任保険の保険金額を算定することを目的とする損害の査定にすぎず、被害者の加害者に対する損害賠償請求権の行使を何ら制約するものではないから、上記事前認定の結果が非該当であり、その後の異議申立てによって等級認定がされたという事情は、上記の結論を左右するものではない。そうすると、被上告人の本件後遺障害に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、遅くとも平成9年5月22日から進行すると解されるから、本件訴訟提起時には、上記損害賠償請求権について3年の消滅時効期間が経過していることが明らかである。
【コメント】
異議申立でがんばって非該当から12級への変更を逆転で勝ち取りました。
しかし,自賠責保険金のみで,その余の損害賠償請求は消滅時効にかかっているとされました。
認定によって後遺障害に該当すると知ったときではなく,症状固定日から起算するという原則は動かせないと言うことです。