大学3年生のアルバイト収入について休業損害を認めた判決です。
大学3年生のアルバイト収入について就職活動のために直ちにバイトを自粛しなければならない状況にはなかった等として事故前日までの102日間の実収入を基礎収入に,症状固定まで384日間(休業損害)199万円余を認めたました。
名古屋地判平成23年2月18日
自保ジャーナル・第1851号(平成23年8月11日掲載)
原告一郎は,昭和62年2月生まれで,本件事故のあった平成19年4月13日には20歳でE大学の3年生になったばかりの時期でした。
遅くとも平成18年5月ころからは当時のアルバイト先であるF会社が経営するお好み焼き屋でアルバイトをしておりました。
そこで,平成19年は,本件事故の前日である4月12日までの102日間に,52万9,318円のアルバイト代を稼いでいたのです。
したがって,本件事故は大学の講義が終わった後に発生しており,当日も,その後,原告一郎はアルバイトに行く予定であったことが認められるものです。
原告一郎が,本件事故当時,まだ大学3年生になったばかりの時期であり,すぐに本格的な就職活動のためにアルバイトを自粛しなければならないような状況になるともいえないこと,
本件事故当日もアルバイトに行く予定であったこと,本件事故当日のように大学の講義が終わってからの時間帯にアルバイトに行くということであれば,学業や就職活動とアルバイトを両立することは十分に可能であると考えられることからすれば,
本件事故前日までの102日間の収入を基礎収入として384日分の休業損害を認めるのが相当である。
学生は,原則として休業損害は認められません。
しかし,収入があれば認められます。本件は,大学3年生の事故としてアルバイトの収入について休業損害が認められたものです。
それは,大学3年生であったことを考えると,アルバイトを自粛することが予想されて,それほどの収入の蓋然性がなかったとも考えられるからです。
なお,被告は「本件事故前の原告一郎の収入が大きいのは正月休みや春休みを利用してアルバイトをしていたためであると考えられ、これを基礎収入として休業損害を算定するのも相当ではない。」とも主張しています。
判決は,原告の主張の「入院期間である384日の全日について,直前の102日のアルバイト代を基礎収入とした休業損害」を認めました。
しかし,収入があれば認められます。本件は,大学3年生の事故としてアルバイトの収入について休業損害が認められたものです。
それは,大学3年生であったことを考えると,アルバイトを自粛することが予想されて,それほどの収入の蓋然性がなかったとも考えられるからです。
なお,被告は「本件事故前の原告一郎の収入が大きいのは正月休みや春休みを利用してアルバイトをしていたためであると考えられ、これを基礎収入として休業損害を算定するのも相当ではない。」とも主張しています。
判決は,原告の主張の「入院期間である384日の全日について,直前の102日のアルバイト代を基礎収入とした休業損害」を認めました。