被害者車両と加害者車両が非接触であるが加害者の過失を認めた判決です(車線変更の事例)

[車線変更,過失割合,過失相殺,非接触,非接触事故]

本件事故は,車線変更車である被告車と変更先車線の後続車である原告車との間の非接触事故であります。
被告には,後方確認不十分及び進路変更禁止区間で車線変更しようとした過失があるが,他方,原告にも被告車の動向確認が不十分で,自車の操縦を適切にしなかった落ち度があるといわざるを得ないとして,原告に20%の過失相殺をすると認定しました。

京都地裁 平成24年1月16日判決
<出典> 自保ジャーナル・第1882号(平成24年11月22日掲載)

【判決の趣旨】   (クリックすると回答)


被告は,第2通行帯から第1通行帯に車線変更するに先立ち,また,被告車は長大で車線変更に相当な時間と距離を要するのであるから車線変更のための進路変更を開始した後においても,第1通行帯の後方から進行してくる車両の有無,位置関係等を十分確認すべき注意義務があったが,被告がこれを怠ったため本件事故が発生したものというべきである。

他方,原告にも,被告車の動向確認が不十分で,自車の操縦を適切にしなかった落ち度があるといわざるを得ない。被告は,原告車が法定速度を著しく超過する速度で走行していたと主張するが,これを認めることはできない。以上の諸点を勘案し,公平の観点から,原告について2割の過失相殺をするのが相当と判断する。

 【コメント】  (クリックすると回答)


接触がないときであっても,車輌の運行が被害者の予測を裏切るような常軌を逸したものであって,これによる危難を避けるべき方法を見失うなど,衝突にも比すべき事態である場合には事故と被害者の受傷との間に相当因果関係を認めるのが相当であるとされています(八木・佐久間 交通損害関係訴訟 青林書院 P56,57) 。

問題は,「衝突にも比すべき事態」とは具体的にはどのような場合を言うかです。
本件は,第2通行帯から第1通行帯への車線変更車である被告車と変更先車線の後続車である原告車との間の非接触事故です。

被告車は,トレーラーで,全長は17メートルを超えるものであり,50メートル以上かけて黄色実線の車両通行帯境界線を超え(注:進路変更禁止区間での)第1通行帯への車線変更を行ったところ,被告は,車線変更のため進路を左に変え始める以前以後において,左後方の安全確認を十分しなかったと言うものでした。

「これによる危難を避けるべき方法を見失うなど,衝突にも比すべき事態」という点は全長は17メートルを超えるトレーラーが,進路変更禁止区間で進路変更をしている点から充たしていると言うことです。

他方で,原告にも,被告車の動向確認が不十分で,自車の操縦を適切にしなかった落ち度があるといわざるを得ないというものでした。

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