Q.頭痛は後遺障害(後遺症)として認定されるのでしょうか。
頭痛の原因にもよりますが,後遺障害等級認定されたならば9級,12級,14級となります。
頭痛というのは頭が痛いことで,日常的にありふれた症状と言えます。 2 後遺障害(後遺症)としてはどのような基準によりますか。 (クリックすると回答)
2003(平成15)年8月8日に厚生労働省労働基準局長通達で「神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準について」との新しい基準は頭痛にも当てはめられます。 3 その新しい基準ではどのように認定されますか。 (クリックすると回答)
新しい基準によれば頭痛については,「頭痛の型の如何にかかわらず,疼痛により労働または日常生活上の支障の程度を疼痛の部位,性状,強度,頻度,持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見により把握し,障害等級を認定する。」となっています。
4 自賠責における等級はどうなりますか。 (クリックすると回答)
等級としては,以下のとおり,自賠責後遺障害等級としては9級,12級,14級となります。 5 等級認定された場合の解決方法での注意点は何ですか。 (クリックすると回答)
解決方法ですが,後遺障害として,きちんと認定させることがもっとも重要です。
しかし,頭痛と言っても本当に痛みを感じているのは体のどこの部分かと言えば,なかなか特定ができないのです。
そして,頭痛の原因や種類は多種多様に及んでいます。従ってありふれた症状ですが,後遺障害として考える場合には意外に難しい問題を含んでいます。
それを受けて自賠責保険においても同年10月1日以後の交通事故に,頭痛に関しての基準が新しく適用されています。
a)通常の労務に服することはできるが激しい頭痛により,時には労働に従事することができなくなる場合があるため,就労可能な職務の範囲が相当な程度に制限されるもの
(9級10号の「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」)
b)通常の労務に服することはできるが,時には労働に差し支える程度の強い頭痛が起こるもの
(12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」)
c)通常の労務に服することはできるが,頭痛が頻回に発現しやすくなったもの
(14級9号の「局部に神経症状を残すもの」)
a)の9級に該当するためには,12級以下との比較からも,局部の神経症状だけではなく,脳や脊髄などの中枢神経の異常に基づくことが必要とされます。
b)の12級に該当するためには,他覚的に障害が証明されるものであることが必要ですから,事故により身体の異常が生じて,その異常によって頭痛が生じていることが他覚的所見に基づいて判断されなければなりません。
c)の14級に該当するためには,障害つまり頭痛の存在が医学的に説明可能なものでなければなりません。
他覚所見と自覚症状との整合性が要求され,それを欠くと非該当になってしまいます。
被害者が頭痛を訴えることは多いが,頭痛だけが後遺障害の問題となることはそれほど多くはないと言われています。
頭痛をもたらす疾患は数多くありますが,交通事故外傷で考えられるのは,主にむち打ち症と頭部外傷です。
むち打ち症の場合には,頭痛(頚性頭痛といわれこともありました)は,頸部・背部痛,頸部可動域制限等の症状の一部として考えられて,むち打ち症の神経症状の後遺障害の問題に吸収されてしまうのが一般的だと思われます。
頭部外傷の場合も,脳外傷を示す所見が明らかであれば,脳外傷による他の症状である痺れ・麻痺・視覚障害と頭痛が合わせて訴えられるので,脳外傷による後遺障害を認定する一症状として頭痛も考慮すれば足りるのです。
すると,頭痛だけを後遺障害として認定できるかが問題となるのは,むち打ち症あるいは頭部外傷で,他の症状を訴えることなしに頭痛だけを訴えているという,極めてレアな場合とも言えそうです。
なお,慢性頭痛が他に明確な原因が無く,交通事故後に発症した場合に,事故との因果関係があるのか否かが問題となります。この点については,裁判例等もなく,また,医学的にも検討課題と言えそうです。
被害者請求による認定をお勧めします。
ただ,残念な結果になることも予想して異議申立も念頭に置くべきです。
その上で,せっかく後遺障害として認定させても,逸失利益において喪失期間を短縮する主張が加害者側からされることが予想されますので,弁護士への相談が必要です。