Q.むち打ち(頚椎捻挫)の中で神経根症型というのはどういうものですか。
むち打ちで頚椎からの末梢神経が局部的に傷ついてしまうものです。
治療が長期化して後遺障害12級(13号)となることも多くあります。
重要なことは,治療中の被害者自身は,それに該当するかどうかを自分では判断できないことです。
1 頚部損傷の中にはどのようなものがありますか。(クリックすると回答)
一般に広くむち打ち(症)と呼ばれますが,頚部の損傷には3タイプがあります。
①頚椎捻挫型
②神経根症型
③脊髄症型(脊髄損傷型)
一般にむち打ち症と呼ばれているものの多くが,この①に属しています。
しかし,骨折脱臼がなくとも,神経がダメージを受けてしまうことがあるのです。
脊髄から椎間孔と呼ばれる穴を通って神経は脊柱の外に出て肩から腕まで伸びる末梢神経となります。
脊髄から椎間孔の出口までを神経の根っこ,つまり神経根といいます。
神経根症とは,この神経根が損傷することにより起こる障害を言います。
どうして障害が生じるかというと,衝撃で強い力で頚椎が伸びたり緩んだりする過度の動きで限度を超えて引き伸ばされたり,押しつけられたりしての外力が働き損傷してしまうからです。
さらに,事故前から頚椎椎間板ヘルニアが無症状でも存在していると神経根は一層損傷してしまうのです。
3 神経根症の症状は,どういうものですか。(クリックすると回答)
①首・肩・上肢の他覚的な神経症状が起こります。
a)障害を受けた神経が支配する箇所の筋力低下,筋萎縮
b)障害を受けた神経が支配する領域に一致して現れる自発痛(安静にしていても自覚される痛みのことです),放散痛(強い刺激を受けたとき,刺激を受けた箇所だけではなく,その周囲にも痛みが広がっていくことです。),知覚障害(知覚脱失,鈍麻)
c)障害神経根が関わる上肢の腱反射の以上(減弱,消失)
②上肢の自律神経症状
肩,上肢にしびれ,脱力,重苦感,手の冷感などの自律神経症状が出現します。
4 後遺障害(後遺症)等級は,どうなりますか。(クリックすると回答)
神経根症は,神経根が損傷して起こるものですから,
①画像から神経圧迫の存在が考えられ,
②圧迫されている神経の支配領域に知覚障害などの神経学的以上所見が確認された倍には,医学的に障害との関係が証明されたものとされ易く,12級(13号)が認定される可能性があると言えます。
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さらに,この点については,次の記事をご覧下さい。
☆ 頚椎捻挫(むち打ち)において後遺障害(後遺症)12級13号の「頑固な」神経症状とは,どういうことでしょうか。そのための神経学的検査にはどのようなものがありますか。---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所 (リンク)