Q.外傷性胸郭出口症候群とは何ですか。後遺障害(後遺症)として何級になりますか。
むち打ち(頸椎捻挫)等の外傷後に発症する胸郭出口における様々な症状のことです。
人間の体を区分したときに頸部(首)と腹部の間にあって心肺など生体重要臓器が収納されている部分を胸郭と呼びます。
胸郭の上部の出口は頸部と連なっており,下部は横隔膜で腹部と仕切られています。
つまり胸郭出口とは胸郭の頸部と連なる出口を意味します。胸郭出口は,第1肋骨で形成されています。
胸郭出口における神経や血管の圧迫による一連の症候群が胸郭出口症候群です。
胸郭出口には,腕神経叢(神経叢とは,末梢神経が連絡しあった網状の部分です。
脊髄神経には腕神経叢の他には,頚神経叢,腰神経叢,仙骨神経叢があります。),鎖骨下動脈が走っており,それらが圧迫されるものです。
3 性別・年齢・体型・発症について特徴はありますか。 (クリックすると回答)
性別では2~3:1の割合で女性が多いとされており,発症年齢は20歳代と30歳代が大半で,15歳以前と40歳以降での発症は非常に少ないと言われています。
発症は,普通は徐々に起こって一進一退を繰り返しながら慢性の経過を辿るとされています。発症者の体型としての特徴は,なで肩・まる肩が多いと言われますが,女性では普通の体格ないしやせ形場合が多く男性では筋肉質が多いと言われています。
頚椎捻挫・鎖骨骨折・肩打撲などの外傷後に発症するものもあります。これが外傷性胸郭出口症候群です。
痛み,しびれ,だるさが3大症状とされます。筋肉の痛み,こり,だるさ,上肢のしびれ,はれぼったさ,チアノーゼ,蒼白,冷感などがあります。
さらに顔面のしびれ,発汗異常やめまい,嘔気などの自律神経症状,頭痛もあります。
5 後遺障害等級は,どうでしょうか。 (クリックすると回答)
外傷性胸郭出口症候群は,かつては12級13号が認定されることも多くありました。
しかし,最近では,頚椎捻挫の症状に含まれるものであるとして自賠責認定14級9号止まりという傾向になっていると言われています。
6 外傷性胸郭出口症候群に関する裁判例は,どういうものですか。(クリックすると回答)
12級とした判決例です。
東京地裁 平成19年12月18日判決(確定)
詳細は,こちらの記事をご覧下さい。
☆胸郭出口症候群と事故との因果関係を認め,歩行中衝突された36歳女性に後遺障害12級を認定した判決です。また,素因減額もありませんでした。---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所(リンク)
さいたま地裁 平成20年3月28日判決
詳細は,こちらの記事をご覧下さい。
☆物損軽微事故であるものの胸郭出口症候群として12級後遺障害を認めて,67歳までの逸失利益を認めた判決です。 ---交通事故賠償は,むさしの森法律事務所(リンク)
なお,むさしの森法律事務所の実例については,こちらをご覧下さい。
☆和解で外傷性胸郭出口症候群を認めた解決例です(むさしの森法律事務所獲得事例)(リンク)