Q.脊椎(脊柱・脊髄)に手術が行われた場合の変形障害は後遺障害になりますか。

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A.

椎弓切除術・脊椎固定術等の手術が,事故後に行われることがあります。
その場合には,脊柱の変形障害となる可能性があります。
後遺障害等級としては,「脊柱に中程度の変形を残すもの(8級相当)」あるいは「脊柱に変形を残すもの(11級7号)」が考えられます。
なお,損害賠償の問題としては事故前の状態から見て素因減額の対象となる可能性もあります。

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1 脊椎(脊柱・脊髄)に対する手術には,どういうものがありますか。

(1)椎弓切除術
椎弓切除術とは,体後方から脊椎に到達して棘突起,椎弓,黄色靱帯を切除して脊椎管内を露出する手術です。
目的としては,脊髄の圧迫をきたすような疾患を治すためであり,脊柱管狭窄・後縦靱帯骨化症・椎間板ヘルニア・脊椎脱臼骨折が代表的な適応とされています。

(2)ヘルニア摘除術
保存療法では治らない椎間板ヘルニアに対して脱出してしまった髄角や一部の椎間板組織を摘出する手術です。

腰椎椎間板ヘルニアの場合には後方から椎弓を切除してヘルニアを摘出する後方椎間板切除術,経皮的髄核摘出術(椎間板内に管を通して髄核を摘出する手術)があります。

頚椎椎間板ヘルニアに対しては,原則として前方椎間板切除術が行われます。

(3)脊椎固定術
不安定な脊椎に対して支持性を得させるために行う手術です。
脊椎の脱臼骨折・椎間板ヘルニア・側弯や後弯などの脊椎変形が主な手術の対象となります。
脊椎の後方あるいは後側方(腰椎の場合)要素間を固定する方法と前方の椎体間を固定する方法があります。

(4)脊柱管拡大(椎弓形成)術
椎弓を切除しないで脊柱管を拡大する手術です。
頸椎の後方組織を保存したままで治療ができると言うことで開発されたもので,最近では人工骨を用いられるようにもなりました。


2 手術が行われた場合の変形障害は,どのように評価されますか。

脊柱の変形障害 として評価される可能性があります。

①環椎と軸椎の固定術が行われた場合
「脊柱に中程度の変形を残すもの(8級相当)」
②脊椎固定術が行われたもの(但し,移植した骨がいずれかの脊椎に吸収されたものを除きます。)
「脊柱に変形を残すもの(11級7号)」

③3個以上の脊椎について,椎弓切除等の椎弓形成術を受けたもの
「脊柱に変形を残すもの(11級7号)」
 

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