Q.耳鳴および耳漏の後遺障害はどうなりますか。
著しい耳鳴が常時あると評価できるものについては12級相当,耳鳴が常時あると合理的に説明できるものについては14級相当となります。
常時耳漏があるものについては12級相当,その他のものについては14級相当となります。
外界からの音の刺激がないにもかかわらず,耳の周囲や耳内に音を感じる場合を狭義の耳鳴と言います。また,頭蓋内に感じるものを頭鳴とよび,これも含めて耳鳴と言います。
自覚的訴えとしては,セミの鳴くようなジーンジーンとか高調音キーン,チーンと言われています。
2 後遺障害に該当する耳鳴とはどのようなものものですか。 (クリックすると回答)
耳鳴に係る検査によって難聴に伴い著しい耳鳴が常時あると評価できるものについては12級相当,耳鳴が常時あると合理的に説明できるものについては14級相当となります。
難聴に伴い+耳鳴+常時ある が前提となって,著しい耳鳴と評価できるものが12級相当,耳鳴のあることが合理的に説明できるものが14級相当 と言う構造になっています。
まずは,「耳鳴に係る検査によって」耳鳴が認められないといけません。そして「難聴に伴う」耳鳴でないといけません。
(1)耳鳴に係る検査とは
①ピッチ・マッチ検査②ラウドネス・バランス検査(リンク)を言います。
①で耳鳴を示すピッチが得られたならば②の検査がされ,耳鳴の検査としては,その大きさを検査するものとして重要です。
(2)難聴に伴うとは
純音聴力検査では難聴に該当しないレベルの40dB未満であっても30dB以上の難聴がある場合の耳鳴でないといけません。
(3)著しい耳鳴とは
「耳鳴に係る検査によって」耳鳴が存在すると医学的に評価できる場合です。つまり,「耳鳴に係る検査によって」耳鳴の存在を評価される=著しい耳鳴→12級相当という関係にあります。
(4)常時とは
昼間外部の音によって耳鳴が遮断されるため自覚症状がなく,夜間のみ耳鳴の自覚症状がある場合には,耳鳴が常時あるものととして取り扱うとなっています。従って,夜間の耳鳴りの自覚症状があれば常時あると取り扱われることになります。
(5)耳鳴のあることが合理的に説明できるものとは
耳鳴の自訴があり耳鳴のあることが外傷等から合理的に説明ができることを言うとされています。
要するに耳だれですが,外耳道から分泌されるものすべてをいい,水様性,漿液性,粘性,膿性,血性など様々なものがあります。
交通事故においては,受傷によって鼓膜に穴があいて(外傷性穿孔),外耳道から分泌物があることを言います。
4 後遺障害に該当する耳漏とはどのようなものですか。 (クリックすると回答)
受傷によって鼓膜に穴があいて(外傷性穿孔)手術をした場合に,
聴力障害が後遺障害等級に該当しない40dB未満であっても存在して(30dB以上),
常時耳漏があれば12級相当,その他のものが14級相当となります。
なお,外傷による高度の外耳道狭窄で耳漏を伴わないものは,14級相当となります。
5 後遺障害申請に際しての注意はありますか。 (クリックすると回答)
耳鳴も耳漏も,聴力障害に該当しないまでも一定程度の難聴のあることを前提として後遺障害該当性を判断します。
従ってオージオメーターによる純音聴力検査結果を診断書に記載していただくべきでしょう。