Q.「めまい」等の平衡機能障害の後遺障害(後遺症)はどうなりますか。

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A.

平衡機能に関する障害は,神経系統の機能障害として評価され,3級,5級,7級,9級,12級,14級となる可能性があります。

1 平衡機能とは何ですか。 (クリックすると回答)

平衡とは,バランスのことです。要するに,平衡機能とは体のバランスをとる能力のことです。

2 めまいと平衡機能障害の関係は,どういうものですか。 (クリックすると回答)

めまいとは,体の位置や運動に関する異常感覚であるとされて自覚的なものであり,平衡機能障害は他覚的なものとされています。

従って,めまいは問診の対象であり,平衡機能障害は検査の対象です。

この様に,めまいと平衡機能障害とは別のものであり,めまいに平衡機能障害を伴うことが多いとされますが,伴わないこともあります。

3 平衡機能障害の分類と原因はどうですか (クリックすると回答)

平衡機能障害は,身体(体幹,四肢)と眼球とに分類されます。

また,原因としては,①内耳性②小脳性③脳幹性④脊髄性に分類されることが多いです。

4 内耳性の平衡機能障害とは,どういうものですか。  (クリックすると回答)

内耳の後方にある三半規管と前庭は,平衡機能を司っています。

三半規管は,外側(水平),前(垂直),後(垂直)の3つの半規管で成り立っており,回転刺激などの角加速度を感受して脳に伝達するものです。

前庭は,内耳の中央にあって,重力や位置変化といった直線加速度を感受する耳石器を有して,それを脳に伝達するものです。

内耳性の機能によって回転運動や直線運動に反応して,神経や筋肉組織を支配して,視覚,深部感覚,小脳と連携して体の運動や頭の位置を正常に保つ働きをしているのです。
この内耳の機能が受傷して障害を受けると平衡機能障害となるのです。

5  平衡機能検査とは,どういうものですか。  (クリックすると回答)

既に述べましたとおり,平衡機能障害は他覚的なものであり,検査の対象です。

ア 立ち直り反射検査体位が自動的あるいは他動的に変化した場合に,頭部や体幹を正常値に戻す働きを見る検査です。
(1)ロンベルグテスト (両足直立検査,リンク)
まず目を開いて,つま先をそろえて直立して,その後に目を閉じた際の身体の動揺を見るものです。

(2)マンテスト
まず目を開いて,つま先と踵を一直線にそろえて直立して,その後に目を閉じて身体の動揺を見るものです。

(3)単脚直立検査
目を開いて,左右それぞれ30秒間片足で直立して,その後に目を閉じて30秒間直立して身体の動揺を見るものです。

(4)斜面台検査(ゴニオメーター)
目を開いた場合,目を閉じた場合と両方で斜面台の上で,直立して台を傾けて落ちたときの角度を見るものです。
目を開いても閉じても15度以下,開いたときと閉じたときあるいは左右差が5度以上が異常値です。

(5)重心動揺計検査
動揺計で重心の動揺の軌跡を分析します。

イ 偏奇検査
骨格緊張の左右非対称,つまりどちらかに偏りがあることを偏奇と言います。偏奇を検査するものです。

(1)指示検査
両手を水平に伸ばして目を閉じて,膝から元の水平の位置まで手を伸ばしたときに,10㎝以上のずれがあると異常です。

(2)遮眼書字検査
手が机につかないようにして,目を開けて1行,目を閉じて(遮眼)4行を書く。その文字を比較して偏書の方向や角を検討します。偏書の角度が10度以上であれば異常とされます。

(3)足踏検査
目を閉じて両手を水平に伸ばして100歩足踏みをして,90度以上の回転や,後方への移行があれば異常とされます。

6 後遺障害の等級はどうですか (クリックすると回答)

3級3号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの
5級2号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの9級10号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号
局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号
局部に神経症状を残すもの

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