Q.咀嚼(そしゃく)機能障害の後遺障害等級はどうなりますか。
咀嚼(そしゃく)機能を廃した場合は3級2号,著しい障害を残す場合は6級2号,障害を残す場合は10級3号となります。また,そしゃくに相当時間がかかる場合には,12級になる可能性があります。なお,併せて言語機能も廃した場合は1級2号,著しい障害を残す場合は4級2号,障害を残す場合は9級3号となります。
1 そしゃく機能障害の判断
上下咬合および配列状態ならびに下あごの開閉運動等により総合的に判断されます。
☆不正咬合のことです。不正咬合とは,あご・顔面・歯・歯周組織の異常から咬合(いわゆるかみ合わせ)が正常でなくなった状態です。
原因としては,1)個々の歯の位置異常2)歯列弓☆形態の異常3)上下歯列弓(上下あご)関係の異常があります。
☆歯列弓とは,上下のあごが描く曲線のことです。
2 「そしゃく機能を廃したもの」(3級2号)とは
流動食以外は摂取できないものを言います。
3 「そしゃく機能に著しい障害を残すもの」(6級2号)とは
かゆ食又はこれに準じる程度の飲食物以外は摂取できないものを言います。
4 「そしゃく機能に障害を残すもの」(10級3号)とは
a)固形食物の中にそしゃくできないものがあること,
または,b)そしゃくが十分にできないものがあり,そのことが医学的に確認できる場合を言います。
a)の例としては,ごはん,煮魚,ハム等はそしゃくできるが,たくあん,らっきょう,ピーナッツ等の一定の固さの食物中にそしゃくできないものがあること又はそしゃくが十分にできないものがあるなどの場合を言うとされています。
b)は,不正咬合,そしゃく関与筋群の異常,顎関節の障害,開口障害,歯牙損傷(補てつができない場合)等のそしゃくができないものがあること又はそしゃくが十分にできないものがあることの原因が医学的に確認できることを言います。
5 そしゃくに相当時間がかかる場合
12級相当となる可能性があります。
その場合には,開口障害等を原因とすることが要件となります。
「開口障害等を原因として」とは
開口障害,不正咬合,そしゃく関与筋群の脆弱化等を原因として,そしゃくに相当時間を要することが医学的に確認できることを言います。
そしゃくに相当時間を要する」とは
日常の食事において食物のそしゃくはできるものの,食物によってはそしゃくに相当時間を要することがあることを言います。