Q.むち打ち(頚椎捻挫)で傷害を受けやすい神経はどれですか。その場合の後遺障害(後遺症)はどうなりますか。
むち打ち(頚椎捻挫)で傷つきやすい神経根は,第6から8までの頚椎神経根です。
痛み,知覚障害が生じてきます。そして,その部位は障害がある神経根と一致します。
そのことが神経検査,画像所見で証明されたならば12級13号(局部に頑固な神経症状)に該当するのです。
1 むち打ち(頚椎捻挫)で傷つきやすい神経根
むち打ち(頚椎捻挫)で傷つきやすい神経根は,第6から8までの頚椎神経根です。
2 第6神経根の障害
C5/6(第5頚椎と第6頚椎の間から出ている)ものです。
特徴は,痛みと知覚障害と,上腕二頭筋の反射が低下して,筋力が低下します。
上腕二頭筋は肩の付け根から肘までの間で手の甲を上にして腕を伸ばしたときに内側に来る筋肉で,力こぶを作るものです。
痛みは,首の下の背骨から肩甲骨の間の放散痛(痛みが周辺に広がっていくような痛み)と,肩から上腕そして,肘にかけての自発痛(安静にしていても痛い)です。
知覚障害としては肘の下あたりから親指,人差し指にかけて知覚が鈍麻したり過敏になったりします。
3 第7神経根の障害
C6/7(第6頚椎と第7頚椎の間から出ている)ものです。
特徴は,痛みと知覚障害と,上腕三頭筋反射の低下,さらに肘の伸展力・指の伸展力・手関節の屈曲力の低下です。
上腕三頭筋は上腕二頭筋の反対側,つまり腕を伸ばした時に外側に来る筋肉です。
放散痛は背中の上の部分から上腕の方向へ広がるようなものです。
自発痛は第6神経根の障害と同様で肩から上腕そして,肘にかけての自発痛(安静にしていても痛い)です。
知覚障害としては肘の下あたりから人差し指,中指にかけて知覚が鈍麻したり過敏になったりします。
4 第8神経根の障害
C7/T1(第7頚椎と第1胸椎の間から出ている)ものです。
特徴は,痛みと知覚障害ですが,さらに指の屈曲力の低下があります。
放散痛は,首筋から肩胛骨の上あたりに広がるようにして生じ,特に肩胛骨の上あたりに痛みがあります。また,上腕の脇の下から尺側(小指側)から肘の下にかけて自発痛があります。
知覚障害としては,肘の下から小指,薬指にかけて知覚が鈍麻したり過敏になったりします。