Q.腰部神経症状についての(1)ラセーグテスト(2)SLRテスト(3)ブラガードテストとはどういうものですか。
いずれも,腰椎神経根の障害があるかどうかを見るための誘発テストで徒手検査法で機械を使用しないものです。
なお,神経根とは脊髄から枝分かれした末梢神経であり,神経根症とは,その神経根が障害を受けているものです。
1 ラセーグテスト
患者が仰向けになって,股関節・膝関節を90度に屈曲した位置から膝関節を少しずつ伸展させていくものです。
神経根障害があると,下肢痛が誘発されるために、膝関節が伸展できなくなります。陽性としても誘発が伸展程度のどの段階で生じたのかを示すために,度数で表示されます。
しかし,股関節,膝関節の二つの関節が関与するために解釈が比較的困難となり正確性に問題があるとされています。
2 SLR(下肢伸展挙上)テスト
SLRとは,straight leg raising
testの略です。日本語では下肢伸展挙上テストと言います。坐骨神経の伸展テストです。
やり方は,ラセーグテストと似ていますが,この場合には,膝を屈曲させないで伸展して行います。つまり患者が仰向けになって、膝を伸展したまま下肢を挙上させていった際に,臀部から大腿後面にかけて痛みが生じますが,これは,健常でも痛みが生じることから,どの角度まで挙上させて痛みが生じるかが重視されます。
70度以下が陽性です。角度の度数で表示されます。
3 ブラガードテスト
SLR(下肢伸展挙上)テストで疼痛を誘発する角度よりも少し下げた高さ(5度程度)で足関節を背屈(伸展)させることにより疼痛を誘発させるものです。
これにより,SLR(下肢伸展挙上)テストで陽性であるが疑問が残るものについて診断を確定させるために有効とされています(「後遺障害等級認定と裁判実務」新日本法規 p295)。