Q.低髄液圧症候群の後遺障害等級はどうなっていますか。
A.
低髄液圧症候群は,症状の原因及び治療方針を説明する傷病名であり,後遺障害を示すものではありません。
たとえ,低髄液圧症候群と診断名が出されてもあくまでも残存している症状の有無及び程度で後遺障害は判断されます。
1 問題の所在は,どこにありますか。 (クリックすると回答)
低髄液圧症候群の診断基準が現在も確立していないこと,仮に日本神経外傷学会が最終報告をまとめて基準を示したとしても,賠償に関しては当然にそれとは異なる基準が示されて争点となることは予想されます。
そのことも関連して,交通事故により低髄液圧症候群が発症するのかも問題となります。
2 低髄液圧症候群の後遺障害は,どうですか。 (クリックすると回答)
(1)脳・脊髄にわたっての中枢神経系統の障害に至った場合
少なくとも,9級10号「神経系統の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」となりうると考えます。
(2)いわゆるむち打ち症の延長としての場合
むち打ち症から低髄液圧症候群を発症するのかについては,議論があるところです。
仮に,むち打ち後の症状について低髄液圧症候群としての診断を受けて,他覚的所見としての評価が得られたとしても,12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」との認定にとどまると思われます。
現実に,低髄液圧症候群と診断されてブラッドパッチ療法を受けたとして,その後の残存症状が起立性頭痛を伴わない頸部痛であるような場合には,14級9号「局部に神経症状を残すもの」との認定にとどまると思われます。