Q.硬膜外血腫とは何ですか。
頭蓋内では最も脳の外側にできるものです。一般的に急性硬膜外血腫を指すとされています。血腫を見逃すことがなければ大事に至らず後遺障害になることも,まずはありません。
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硬膜外血腫とは
頭蓋骨と硬膜の間に出血して血腫のできたものです。頭蓋内では最も脳の外側にできるものです。慢性硬膜外血腫は極めてまれであり,硬膜外血腫とは一般的に急性硬膜外血腫を指すとされています。
2 発生と好発発生部位
頭蓋骨骨折によって硬膜血管が破綻して硬膜と頭蓋骨の間に出血して血腫ができるものが90%を占めると言われていますが,骨折のない例が若者に多いとも言われています。
後発発生部位は,側頭から頭頂部が多く,ほとんどが片側(一側)性です。
3 症状
硬膜外血腫の典型例では脳実質の損傷がなく,血腫による脳の圧迫だけが問題となるので,血腫を早期に除去すれば予後は良好で後遺障害も残らないことが多いとされています。しかし,問題は,血腫を見逃して診断と治療が遅くなれば重症化したり生命の危険をもたらすこともあります。硬膜外血腫の場合は,他の頭蓋内血腫と症状としての意識障害の出現パターンが多少異なるために,血腫を見逃すことがあるのです。意識障害の出現パターンは,次のように分類されます。
①受傷直後の意識障害はなく,時間をおいて意識障害が出現する
②受傷直後の意識障害があり,まもなく回復する
③受傷直後の意識障害があり,まもなく回復,その後再び意識障害が出現する
④受傷直後の意識障害があり,その後,意識障害悪化する
この中で,受傷直後の意識障害がなく,むしろ意識清明であったりすると,血腫の発生を見逃しやすいとされています。また,受傷直後のCTでは頭蓋内に異常がなくとも,急速に血腫が増大することがあるために意識レベルの観察と一定時間毎のCT検査が必要であるとされています。
4 治療
血腫の部位と広がりに応じて開頭手術により血腫を除去します。
5 後遺障害
時期を失さずに血腫を除去していれば一般に外傷性頭蓋内出血の中では良好であり,後遺障害はまずありません。