Q.常時介護と随時介護の区別は,高次脳機能障害では違ってくるのでしょうか。
高次脳機能障害は,その障害の特殊性から介護の意味を読み替えるべきです。
その点から,常時介護・随時介護の必要性及び将来の介護費用についても検討がなされるべきです。
さらに,一般的には介護の対象とはならないとされている3級以下の後遺障害等級においても介護の必要性・相当性が認められることがあると考えられます。
1 一般的な常時介護と随時介護の定め方はどうですか。(クリックすると回答)
高次脳機能障害は,後遺障害等級としては「神経系統の機能又は精神の障害について」
1級:生命維持に必要な身のまわり処理の動作について常時介護を要するもの
2級:生命維持に必要な身のまわり処理の動作について随時介護を要するもの
そして,3級以下では3級が「労務に服することができないもの」とだけされており,介護に関しては,触れられていません。
そこで,その点からでは,介護は1,2級だけの問題となってしまいそうです。
なお,常時と随時とは,文字通り,つききりであるか,あるいは動作に応じて適宜であるかということになります。
2 高次脳機能障における介護の問題点はどうでしょうか。(クリックすると回答)
以上のように高次脳機能障害等級に関して,1,2,3級に該当する場合には,すべて労働能力喪失率は100%として,それらの間は,介護を要するか否か,要するとして常時介護か,随時介護かによって形式的には区分がされていることになっています。
しかし,高次脳機能障害においては,身体的介護以外にも看視(監視)が必要となり,その特性を考慮しなければならないのです。
介護は身体的負担であるのに対して,看視(監視)は主に精神的負担であると言えます。
自賠責等級基準は,「介護」という用語そのもののままであるので,看視(監視)の観点を入れて,介護を読み替える,あるいは翻訳する必要があります。
すると,1級=常時介護,2級=随時介護も看視(監視)の点から,常時看視(監視)と読み替えて自賠責2級あるいは3級,さらにはそれ以下でありながら常時介護ならぬ見守り,監視が必要な場合が高次脳機能障害の場合にはあり得ると言えます。
3 高次脳機能障害における介護は,どう考えるべきでしょうか。(クリックすると回答)
高次脳機能障害においては,身体的介護以外にも看視(監視)が必要となり,その特性を考慮しなければならないと考えます。
介護は身体的負担であるのに対して,看視(監視)は主に精神的負担です。
すると,上記の1級は,「食事・入浴・更衣等に常時介護を要するもの」と「常時監視を要するもの」とを並列的にしているのです。
つまり,高次脳機能障害においては,介護と看視(監視)をその負担程度から見て同一のものと評価しているのです。
そのことは,身体状況から見て常時介護とは言えない程度であっても,看視(監視)が常時必要なものであれば1級と同視して常時介護(この場合は常時監視・看視)を認めるべきであると言うことを意味していると考えます。
さらに言えば,3級以下でも介護が必要な場合には介護費用を認めるとすることが妥当且つ合理的であると言えます。
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