Q.高次脳機能障害としての記憶障害の診断基準はどのようになっていますか。
記憶障害あるいは記銘力障害は,高次脳機能障害に特有の症状であり就労への障壁となってしまうものです。
高次脳機能障害としての記憶障害の診断基準として
「高次脳機能障害者支援の手引き」として
平成20年11月に厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部
及び国立障害者リハビリテーションセンター連名で発表されました。
診断基準ガイドラインが示されました。
そこでの症状としての記憶障害としては以下のとおり説明されています。
前向性および逆向性の健忘が認められる。
全般的な知的機能の低下および注意障害を示さない場合は典型的な健忘症候群である。
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なお,詳細は続きをご覧ください。
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① 前向健忘:
いわゆる受傷後の学習障害である。受傷ないし原因疾患発症後では新しい情報やエピソードを覚えることができなくなり,健忘の開始以後に起こった出来事の記憶は保持されない。
参考となる検査法は,ウェクスラー記憶検査,対語記銘課題(三宅式など),単語リスト学習課題(Rey聴覚的言語学習テストなど),視覚学習課題(Rey-Osterrieth複雑図形検査,ベントン視覚記銘検査など)。
② 逆向健忘:
受傷あるいは発症以前の記憶の喪失,特にエピソードや体験に関する記憶が強く障害される。
自伝的記憶に関する情報の再生によって評価するが,作話傾向のため関係者への確認を行ったり,遅延間隔を置いて再度この課題を行い,1回目と2回目の回答が同一であれば正答と見なすことによって,患者の反応の妥当性を確認する。
【記憶障害の程度】
軽度:
最近の記憶や複雑な記憶でも部分的に覚えている。
意味的関連のない項目を結びつけるなど難度の高い検査で障害を示す。
中等度:
古い記憶や体験的に習ったことなどは保たれている。最近の新しい記憶,複雑な事柄の記憶などは失われている。
重度:
前向健忘と逆向健忘を含む全健忘,ほとんどすべての記憶の障害である。
その他,作話や失見当識が見られる。作話は,実際に体験しなかったことが誤って追想される現象である。
その内容も変動するが多い。
よく用いられる当惑作話とは,その時その時の会話の中で一時的な記憶の欠損やそれへの当惑を埋めるような形で出現する作話で,多くは外的な刺激により出現し,その内容は過去の実際の記憶断片やそれを修飾したり何らかの形で利用しているようなものを指している。
検者の質問によって誘発され,捏造された出来事をその内容とする。
2 具体的な症状
医学的なガイドラインとしては次のようなことが言えます。
記憶障害では、援助者なしに日常生活を送ることができなくなる。
すなわち、言われたことをその場で聞き返されれば答えることができるが、少し時間がたってから尋ねられると覚えておらず、したがって約束や予定を覚えることができない。
あるいは、これから何をする予定なのか、昨日は何をしたのかなどを思い出せない。
そして、このような生活上の困難が多いにもかかわらず、本人は記憶障害が原因で失敗したことすら忘れ、このために障害を自覚していないことがある。
「脳外傷リハビリテーションマニュアル」(神奈川リハビリテーション病院「脳外傷リハビリテーションマニュアル編集委員会」)
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