Q.舌咽神経および迷走神経の働きと,その損傷の調べ方は,どのようにするのですか。
A.
1 舌咽神経の働き
舌後3分の1の味覚・表在感覚,運動神経として嚥下(飲みくだすこと),唾液分泌を司っています。
味覚については,顔面神経が舌前3分の2,舌咽神経が舌後3分の1で分担していることになります。
2
迷走神経の働き
感覚神経として外耳道,咽頭,食道などを,運動神経として,嚥下や反回神経(発生,呼吸),そして副交感神経として内臓運動を司っています。
3 損傷の調べ方
口を開いて「アーアー」と発生したり,器具で舌に触れた際の咽頭筋の収縮を見たり(カーテン徴候),
口の反射(催吐反射,軟口蓋反射)を見たりします。
また,水を飲み込めることができるかどうかで嚥下障害を判断したります。
4 障害---球麻痺bulbar palsy
延髄には,脳神経核としては,
運動機能を持つ舌下神経核,副神経核,迷走神経核,舌咽神経核があり,呼吸,嚥下,発生,構語,嘔吐などの機能に関与しています。
延髄病変を原因とする舌咽(Ⅸ)および迷走(Ⅹ)神経の両側性障害で,咽頭筋,舌筋が病変してしまって主に構音・嚥下・そしゃくが障害されます。
これを球麻痺bulbar palsyと呼びます。
発語は不明瞭で抑揚が乏しく,音量も小さく,鼻声や嗄声(カセイ:しゃがれごえ)になります。
嚥下も困難で,ひどくなると流動物も飲み込めず逆流します。
脳神経病変を原因とする場合には舌の萎縮も見られます。
すなわち,主なものは,嚥下困難と構語障害です。