Q.ベントン視覚記銘力検査により何が分かりますか。
ベントン視覚記銘力検査 Benton (Retention)Test とは,視覚による認知,記銘や構成などの能力を評価するものです。
記憶検査には,言語性記憶課題と視覚性記憶課題がありますが,ベントン視覚記銘検査は視覚性記憶課題にあたります。
したがって,様々な構成機能の障害を抽出することができます。
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テスト内容は単純な線画と複雑な線画とで構成されている3シリーズの各10枚からなっている図形を示して4とおりの施行方法によって回答させるものです。
間違いの内容から大脳病変の程度と部位が分かるとされています。
(1)10秒間呈示して,即時再生をさせる
(2)5秒間呈示して,即時再生をさせる
(3)図形を呈示しながら模写させる
(4)10秒間呈示して,15秒後に再生させる
具体的基準は
10枚のカードの正答率において問題ありとされるのは年代別には
15~44歳 5以下
45~54歳
4以下
55~65歳 3以下
記憶力及び構成力から記憶力障害さらには構成障害が判別できるとされています。
しかし,現実には,他の検査も実施して,高次脳機能障害の程度を判断します。
このベントン視覚記銘力検査だけを重視して記銘力なりを判断することはありませんし,他の検査結果とも相関関係をなしていると考えられます。
具体的な例では,
ウエクスラー成人知能検査法改訂版(WAIS-R)の結果は、
WAIS-R:VIQ84:PIQ73→TIQ73であった。
三宅式記銘力検査の結果は、有関係対語=5-9-10/10語、無関係対語=0-1-2であった。
ベントン視覚記銘力検査の結果は、6/10正答、周辺図形の省略、形の誤謬がみられていた。
このように,ほとんど検査結果は,同様の能力低下を示しています。
ちなみ,上記例では,
高次脳機能障害(記銘力低下、注意力低下、知能低下)により、精神系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができない(5級2号)とされたものです。
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構成障害(リンク)