Q.高次脳機能障害における易疲労性とは何ですか。
A.
高次脳機能障害の症状として周囲から理解されにくい代表的なものです。覚せいの低下ともいわれています。それは,脳細胞の多くが損傷を受けていることから生じてくる症状です。つまり,使うことができる脳細胞が健常者よりも著しく不足している,容量不足となっているからです。
1 惰眠と言われるくらいによく眠ったり,起きていても眠かったり,文字通りすぐに疲れてしまったり,全体としてボーッとした状態のことです。
2 易疲労性は,日常生活がネガティブになるだけではなく,疲労が増大していくと,イライラしたり怒り出したりという,感情のコントロールができないという面も出てきます。その点では,易怒性ともなる可能性があります。
3 また,患者がたとえじっとしていても,自然に入ってくる光,音,臭いに反応することから,それらが疲れをもたらします。ましてや,他者との接触や,人混みに出て行くことにより,健常者では想像もつかない疲労をもたらすといわれています。
4 易疲労性は,様々な問題行動を起こす原因となります。それは,健常者ならば容量が十分な脳が疲れることはあり得ないのに,脳損傷により簡単に疲労することから必然的に問題行動となってしまうのです。
5 高次脳機能障害による易疲労性について,健常者は理解をする必要があるのです。