Q.脊髄係留症候群とは,何ですか。交通事故で発症しますか。
脊髄係留症候群は,交通事故だけが原因として発生するものではありません。交通事故がきっかけで眠っていたものが目を覚ますように症状が出現したり,あるいは,すでに出現していた症状が増悪することがあります。したがって,事故との因果関係が認められたとしても素因減額の対象となる可能性があります。
胎生期の脊髄の頭側移動が障害された状態で生まれた新生児が,その後の体幹の成長に脊髄の発育が追いつかずに,脊髄が牽引された状態によって神経症状が出現した病態の総称とされています。
脊髄が正常に上昇できないで,成長することが原因ですが,症状の出現は幼児期までとは限らずに,成長期さらには脊椎の加齢変化によって生じることがあります。
つまり,素因として持っていてそれまで発症を免れていたにもかかわらず,腰部臀部に打撃を受けた外傷により発症する可能性があります。
症状としては,次のようなものがあげられています。
足趾の変形(凸凹変形,左右足の大きさが異なる,内反足)
足関節の運動障害
排尿障害・排便障害
疼痛(特に腰痛)
2 後遺障害(後遺症)として何級ですか。(クリックすると回答)
手術によって牽引されて緊張した脊髄の係留を解除します。
交通事故後に発症したとしても,事故との因果関係が問題となります。
腰部打撲・腰椎捻挫等の傷病名と本症とがある場合には,仮に神経障害が残存したとしても,第12級13号(「局部に頑固な神経症状を残す」)の余地はありますが,素因減額の対象となると考えられます。
あるいは,因果関係そのものが否定される可能性もあり得ます。