Q.正中神経麻痺とは何ですか。後遺障害(後遺症)はどうなりますか。
手に分布する神経には,正中神経・尺骨神経・橈骨神経があります。
正中神経は,肘前方から手首をとおり手指まで延びています。
尺側(小指側)指根屈筋を除く前腕のすべての屈筋を支配しております。
その他,母指の動きに関与する筋群にも分布しております。
そのため,正中神経が障害されると,母指の対立運動ができなくなる猿手ape handあるいは前腕の回内もできなくなったり,手関節の屈曲力の低下も運動制限が生じます。
手に分布する神経には,正中神経・尺骨神経・橈骨神経があります。
正中神経は,肘前方から手首をとおり手指まで延びています。
正中神経は,脊髄神経根であるC6,7,8(頚椎神経6~8番)及びT1(胸椎神経1番)及びC5の一部に由来しています。
尺側(小指側)指根屈筋を除く前腕のすべての屈筋を支配しております。
その他,母指の動きに関与する筋群にも分布しております。
切創などの開放創による受傷が多いとされていますが,肘周辺の骨折やフォルクマン拘
縮(リンク)に合併することもあります。
(1)低位麻痺(手関節付近の麻痺)
母指球筋の麻痺及び正中神経領域(手掌の橈側,母指,示指,中指,及び環指の橈側半分の手掌面)の感覚障害が生じます。
母指球筋の麻痺により筋が萎縮して母指の対立運動ができなくなり,母指と示指(人差し指)の指先をつけて○をうまく作ることができなくなります。
それは母指と手掌が同じ平面にあるためです。
この様な変形を猿手ape handと呼びます。
(2)高位麻痺(肘より近位の麻痺)による後遺障害はどうですか。
低位麻痺の症状に加えて,母指と示指の屈曲ができなくなり,中指の屈曲力も低下します。
前腕の回内もできなくなり手関節の屈曲力も低下します。
5 正中神経麻痺による後遺障害はどうですか。 (クリックすると回答)
母指の対立運動ができなくなる猿手ape handあるいは前腕の回内もできなくなったり,手関節の屈曲力の低下も運動制限です。
このような場合には,自動はできなくとも他動が可能であります。
しかし,現時点の基準でも,このように,末梢神経を原因として弛緩性の麻痺となって他動では可動するものの,自動では可動できない場合に,可動域制限がないとするのは適切ではないとされています。
そこで,自動による可動域制限が認定されることになります。