Q.大脳前頂葉の機能とはどのようなものでしょうか。
頭頂葉は身体の様々な部位からの感覚情報を統合したり,数字とそれらの関係に関する知識や対象の操作などに関する機能に重要な役割を持つとされています。
従って,障害されると物事の認識ができなくなる失認や行動に移せなくなる失行という症状が起こります。
頭頂葉は,解剖学的には中心溝(ローランド溝)よりも後方で,頭頂後頭溝よりも前方にあります。
言い換えれば前頭葉の後ろ,後頭葉の前にあります。大ざっぱに言うと後頭部の耳より上の辺りにあります。
2 頭頂葉の機能は,どのようなものですか。 (クリックすると回答)
(1)中心後回
中心後回は,中心溝の後部に接して,頭頂葉の最前部となる領域です。
(ブロードマンの脳地図における3野) であり,感覚野(一次体性感覚野)と呼ばれています。
中心後回→視床から神経繊維を受けて運動野と同様に身体各部の感覚を支配しています。
運動機能とは異なり,身体各部での感覚を脳に伝える上行性=求心性の伝導経路となっています。そのために上行性伝導路(求心性伝導路)と呼ばれています。
感覚野が障害されると,温痛覚は比較的保たれますが,二点識別覚・位置覚
(リンク)がおかされます。
(2)頭頂連合野
様々な感覚情報を統合して,物事を認識して判断する高次脳機能を司っています。
優位半球の角回(頭頂葉の下部で側頭葉に近い部分)が障害されるとGerstmannゲルストマン症候群とされる症状が出現します。
ゲルストマン症候群は次の4つの主な症候で定義されます。
1.失書 : 自発的に字を書くことも書き取りもできない。
2.失算 : 暗算も筆算もできない。
3.手指失認
(リンク) : 指定された指を示せない。
4.左右失認 : 左右がわからない。
以上の4症候を満たさない不全型も多くみられます。
これらの症候の中では手指失認がもっとも重要視されて,左右失認がこれに次いでいます。
同様に,優位半球の頭頂葉の障害で,失読・構成失行
が認められ,劣位半球の障害で片側身体失認や着衣失行が現れます。
大脳の構造
大脳=終脳+間脳です。(注:大脳に間脳を含めない分類もあります。)
終脳=左右の大脳半球+脳梁+大脳辺縁系+大脳基底核+内包です。
間脳=視床+視床下部+視床上部です。
大脳は,大脳半球間隙で左右に分かれます。→だから半球といいます。
大脳半球=前頭葉・頭頂葉・後頭葉・側頭葉と島(葉)の4つの脳葉からなっています。
4つの脳葉を分ける目印→
中心溝(ローランド溝),外側大脳裂(シルビウス裂)=外側溝(シルビウス溝),頭頂後頭溝