Q.大脳辺縁系の機能とはどのようなものでしょうか。

[Papez回路,Yakovlev回路,健忘,大脳,行動障害,記憶障害,記銘力障害,辺縁系]

A.


現在では,まだ明確な機能は解明されていませんが,情動あるいは記憶に関する重要な機能を担っていると考えられています。障害されると行動の異常と健忘症状が起こります。

1  大脳縁系とは

大脳の深部にあり
帯状回,海馬,海馬傍回,脳弓と,さらに,扁桃体,乳頭体,視床下部,視床上部,視床核群を含めたものを言います。

あまりに奥にありすぎて外側からはイメージができにくいものです。

なお,短く辺縁系と呼ぶことがあります。

2 辺縁系の機能

明確な機能は解明されていません。

しかし,自律神経系,内臓,性機能の重要な中枢の一部をになっていること,そして記憶についても重要な働きをしているものと思われます。

なお,辺縁系はサーキット(回路)を作っていることが知られています。

海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回→海馬というサーキット(Papez回路,内側辺縁系)は感情の発現に関与してると考えられています。

また海馬・脳弓は記憶に関係しているとされています。

さらに,前側頭葉皮質→扁桃核→視床背内側核→前頭葉眼窩皮質→前側頭葉皮質というサーキット(Yakovlev回路,底外側辺縁系)もあります。


Papez回路,内側辺縁系は,この様に感情による情動と記憶に関する中枢であることから,障害されると行動障害と健忘症状が現れます。

特に,無感動,無動症,無言症の3大徴候が障害の表れとされています。
また海馬・脳弓は記憶に関係しているとされていることから,この障害で近時記憶障害が発生します。

この障害に関係するコルサニコフ症候群と言われるものは,逆行性健忘と著しい記銘力障害,失見当識,作話を特徴とします。

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