Q.ワルテンベルグ反射およびワルテンベルグ徴候とは何ですか。
手の親指の反射で,錐体路障害(皮質脊髄路)の簡易な診断を行うものです。
1 ワルテンベルグ反射
手のひらを下にしてテーブルに手を置いてください。
そして小指を床につけたまま,手首を外側に回転させてください。
手の甲が外側を向いたままで固定してください。(これを回外位と言います。)
すると,小指が床面についた状態で5本の指が床面に垂直に並んだ状態になっていますね。
その時に,お医者さんが左手の中指・人差し指で,あなたの親指以外の4本の指の端を押さえるようにして添えていきます。その上からお医者さんがハンマーで叩きます。
ハンマーで叩かれて,あなたの親指はどうなりましたか?
特に変化がありませんか。それならば,正常です。
もし,親指が内側に曲がってきたならば(これを内転屈曲と言います。),それをワルテンベルグ反射が起きたと言うことになります。つまりワルテンベルグ反射陽性です。
2 ワルテンベルグ徴候
ワルテンベルグ反射の検査と同様に,小指が床面についた状態で5本の指が床面に垂直に並んだ状態から,お医者さんが右手の親指以外の4本指を曲げながら,あなたの親指以外の4本指に引っかけて二人で引っ張り合うようにします。
引っ張り合って,あなたの親指はどうなりましたか?
特に変化がありませんか。変化がなければ正常です。
著しく内側に曲がってきたならば,それをワルテンベルグ徴候陽性といいます。
3 陽性の場合とは
亢進が一側性に出現した場合にのみを陽性としています(標準脳神経外科学 医学書院第12版 p36)。両側に出た場合は正常とされています。