Q.複合感覚の検査方法はどのようなものですか。

[表在感覚,複合感覚,頭頂葉,2点識別感覚]

A.

皮膚の2点を同時に触れて,識別ができる,皮膚に書かれた数字・文字を充てることができる,使い慣れたものをさわっただけでその名前を当てることができる,という識別する感覚です。


方法は,次を検査することによります。

2点識別感覚

皮膚書字感覚

立体認知

2点同時刺激識別感覚DSS


表在感覚がほぼ正常なのにもかかわらず,この識別ができないときには,視床よりも上,特に頭頂葉の障害が考えられます

1 2点識別感覚の検査方法は,どうですか。   (クリックすると回答)


皮膚に同時に加えられている2つの刺激を識別できるかの検査です。
一般にはコンパスが使われます。
2点刺激と1点刺激を混ぜ合わせて行われます。

そして,正確に答えられるようであれば,距離を次第に縮めていきます。
2点識別の能力は体の部位により大きな違いがあります。
口唇では2~3㎜の短い距離が識別できますが,背中では4~5㎝離れていると識別できなくなることがあります。

主な最短の識別距離は以下のようなものです。
指先を除いて,意外に短い距離の識別ができないものです。
指先については繊細にできているが,それ以外の四肢末端は割と大ざっぱなのかもしれません。

指尖(指先)・・・・・・・・・・・・3~6㎜
手掌(てのひら),足底(あしうら)・・15~30㎜
手背(手の甲),足背(足の甲)・・・・30㎜
脛骨面・・・・・・・・・・・・・・40㎜

2 皮膚書字感覚の検査方法はどうですか。  (クリックすると回答)


文字通り,皮膚に数字や,○×などを書いて当てさせる検査します。
指先,鉛筆,マッチ棒などを用いて手のひら,前腕,下腿前部,足甲,顔面などで検査します。

表在感覚が正常であるのに,一側の皮膚書字感覚が障害されていると,対側の頭頂葉障害が考えられます。
また,脊髄圧迫による脊髄損傷の場合にも皮膚書字感覚が重要な徴候となります。
脊髄圧迫部より上の皮膚に書かれたものは判断できるのに,それより下のものの判断ができないために,障害のレベルが判定できるとされています。

3 立体認知の検査方法はどうですか。  (クリックすると回答)


閉眼で,日頃よく使っているものを手で触らせて,それを当てさせる検査です。

たとえ名前が想い出せなくとも,形や大きさ,素材が答えられるならば正常です。

表在感覚が正常に保たれているのにかかわらず,物体が識別できないことを立体感覚消失とか立体認知不能とします。
大脳頭頂部障害の診断には欠かせない検査です。

4 2点同時刺激識別感覚の検査方法はどうですか。  (クリックすると回答)


2点同時刺激識別感覚DSS double simultaneous stimulationとは,
左右対称にした2点を同時に同じように刺激した場合に,正常であればちゃんと2つの刺激であると感じることができます。
なお,この場合の刺激は痛覚・触覚を用います。

表在感覚が正常なのに,2点の刺激について,一側しか分からなくて,対側の感覚が分からないことがあり,これをDSS double simultaneous stimulation障害とします。
感覚が分からなかった側が障害されているのです。

感覚が全くない消去現象だけではなく,健側よりも減弱している場合,感覚が別の部位にあるかのように感じる場合も異常です。
この異常があれば頭頂葉の障害が疑われます。

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