Q.脳などの障害に関して瞳孔反射検査にはどのようなものがありますか。
瞳孔に関する反射をみる目的には,眼球を動かす外眼筋および内眼筋を司る動眼神経,滑車神経,外転神経に異常がないかを確認するためです。
反射には対光反射,調節反射および輻輳反射),毛様体脊髄反射があります。
これらにより,脳神経あるいは脊髄中枢の異常が判明する可能性があります。
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あなたは部屋の一番遠いところを見ていて下さい。
お医者さんが懐中電灯で眼を照らして視野にその光を入れます。
その際に,光を入れられた側の瞳孔が収縮するのを直接対光反射あるいは直接瞳孔反射といいます。
これに対して反対側の瞳孔も収縮するのを関節瞳孔反射あるいは共感性対光反射または共感性瞳孔反応といいます。
速やかに瞳孔が収縮すれば正常です。
瞳孔の収縮がみられないのはabsent,遅いものはsilentと表現されます。
あなたは,少し遠くを見ていてください。
お医者さんが,あなたの眉間から10から20㎝のところに指・鉛筆・ボールペン等を置きますので,素早くみてください。
この様な場合に,正常であれば瞳孔は収縮します。
これは近くのものを見ようとして両眼が内側に向くように内転するために内直筋が収縮するためにその刺激による反射です。
これを輻輳反射といいます。
これは,像を正しく結ぼうとする瞳孔の働きです。いわゆる寄り目です。
その時に瞳孔は縮小しています。なお,これは広い意味で言う瞳孔の調節反射です。
痛みを与えられたときに,瞳孔は散大します。
ピンや針で体を突っつく,つねるなどして瞳孔が散大するのが毛様体脊髄反射です。
対光反射・調節反射は,どちらも求心路(脳へ向かう神経経路)は視神経であり,遠心路(脳から向かう神経経路)は動眼神経です。
視力がおかされていないのに,散瞳して対光・調節反射が消失しているのは,中脳障害・動眼神経障害・瞳孔括約筋障害に因ります。
視神経がおかされると,対光反射は障害側の直接反射および腱側の間接反射が障害されますが,障害側の間接反射は保たれます。
動眼神経が障害されると,障害側の直接反射および間接反射が障害されますが,健側の間接反射は正常です。
これは,視覚,対光反射,動眼神経の求心路が一致する部分もありながら,微妙に異なった経路を通っていることによるものです。
従来は,意識障害時の脳幹障害の有無を調べるために用いられました。
現在も,反射の経路は不明な点が多いものの,毛様脊髄中枢(交感神経)とは関係せず,脊髄を中心にした反射弓が考えられています。