Q.大脳損傷による聴覚障害としてのいわゆる皮質聾とは何ですか。
A.
1 定義
主に両側側頭葉の病変により,聾としての聴力低下を示した病態を言います。
2 症状
純音,言語音,環境音のいずれにも大きな音に対しても聞こえないことになります。しかし言語を表出したり文字として理解する能力は保たれています。また,音源の方向を向く反応も保たれています。
3 検査方法
純音聴力検査で重度の聴力低下が認められたならば,聴性誘発電位auditory
evoked potential
AEPから中耳から脳幹レベルでの障害による難聴では説明できないことを確認します。
4 病巣
明確には分かっていないようですが,聴覚皮質を含む両側側頭葉皮質病変ではなく,両側の内側膝状体と聴放線を含む病巣による可能性が高いとされています。
5
発症のメカニズム
両側性でなければ聾のレベルにはなりません。発症の明確なメカニズムは現段階ではまだ分かっていません。
6 改善されるのでしょうか?
聾に一時的になっても聴力レベルは徐々に改善して聾とは言えないレベルまで回復することが少なくないとされています。しかし,大脳損傷による聴覚障害は補聴器の適用とはならないために,残念ながら聾のレベルのままであれば,後遺障害の対象となります。後遺障害等級についてはこちらへ(リンク)