Q.大脳損傷による聴覚障害としての感覚性失音楽とは何ですか。
A.
1 定義
様々な音楽的な面での聴覚的認知障害を総称したものです。
2 症状
音楽を聴いても曲名が分からない,聴いたことがあるかどうかも分からない,音楽として楽しめないというものです。しかし,音楽的な能力には個人差が大きく,自覚症状も様々で,何よりもその症状を伝えることの表現方法に難しさがあるようです。
3 検査方法
音楽を聴かせて判断することが中心ですが,音楽的な能力には個人差が大きいこともあり,まだしっかりと確立したものはないようです。
4 病巣および発症のメカニズム
音楽的認知は音楽の特別な教育を受けていない場合には右半球優位ですが,音楽家あるいは音楽の教育を受けた人は左半球優位とする考え方もあります。しかし,単純に左右のいずれかの大脳半球損傷で発症するとも言い切れないと言われており,損傷部位を特定することは難しいようです。したがってメカニズムも解明されていません。
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改善されるのでしょうか?
感覚性失音楽を有する場合には,他の高次脳機能障害や運動麻痺もあり,ともすれば後回しにされているようです。それにもかかわらず,実際にはかなりの数の患者がいるという節もあります。したがって,実態はよく分かっていないようですが,改善することが多いとも言われています(実態がよく分からないために,これも仮説と言うことになります)。だが,音楽を愛する人や音楽家にとり極めて重要な問題ですので,症例の蓄積がされて研究が進むことが望まれます。